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オブジェクト思考ブロギング

2014-01-01から1年間の記事一覧

汝を知る:意識と無意識

大学時代やたら悟った同級生がいて、彼女の当時のミクシィのプロフはスナフキンの「たいせつなのは、自分のしたいことを、自分で知っていることだよ。」であった。古代ギリシャの「汝自身を知れ」を引くまでもなく、こういった金言は多い。それだけ難しいこ…

精神医学における行動の位置づけ

精神医学の原理的な難しさのひとつとして、フェノタイプ分類の困難がある。いわゆる「障害disorder」という形で分類しているが、対象者の内観や申告に依存するだけでなく、観察者(治療者)のモデルや記録というフィルターを通過しており、かつ言葉(自然言…

適応戦略としての「生物学的」精神医学

精神医学において「病気」「異常」という概念は常に問題になるが、2014年現在の専門家のコンセンサスとしては、「障害disorder」という概念、「自分または他人に害がある状態」をひとつの基準として現象を捉えていると言える。つまり、本人の状態そのものだ…

フィジカル・コミュニケーション

身体言語。肉体的関係というと性的な印象を持つが、現代近代のフレームを置いてみれば、友愛やらその他の身体的コミュニケーションの単なる延長とも捉えられる。毛繕いコミュの延長として。プラトンの世界で「同性愛」が云々という話もあるけど、別に性愛じ…

光学的神経操作

これは、まじ凄そう> 655億円の巨額投資が動いてるのに内情一切不明。Magic LeapのARとは? : ギズモード・ジャパン 光ファイバーを使うとは、実に盲点。 眼は、外から神経と血管が見える唯一の器官と言われる。網膜の神経細胞を、始めから光遺伝学的操作を…

生き物を理解するということ

「形態は機能に従う」 デザインの世界でよく言われることだが、生物の世界では、発生過程として逆の可能性が高い。すなわち、突然変異や色々な要因である形態(構造)が生まれると、環境によって合目的性(機能性、適応性)を獲得することがあり、「結果とし…

再生産と適応戦略

子供の相手を週末2日連続でやるとまさにexhaustedだけど、どうも普段と違うOSを、仮想マシンで更に立ち上げているみたいな感じがある。良くも悪くも脳の違う回路(慣れない回路)が効率悪く頻用されてるのか。自分の回路活性化経路見てみたい。子育てが芯か…

再生産:ニューロウェアのエンジニアリング

DNAを情報媒体とした「バイオウェア」(いわゆる生き物)のエンジニアリングは現在進行形で、特にゲノムの「読み書き」を中心に、文字通りの「ライフハック」が今後も進んでいきそうだ。しかし、神経細胞を情報素子とした「ニューロウェア」の直接的な「読み…

コミュニケーションのスペクトラム

「コミュニケーション障害」という言い方があるが、これは得意とするコミュニケーションがスペクトラムのどの位置にあるか、という言い方もできる。数学、プラグラム言語、論文、散文、話し言葉、表情、身体接触といったスペクトラム・・・言い換えると、デ…

自分の声を見つけなければならない

カズオ・イシグロが、「作家は自分の声voiceを見つけなければならない」とどこかで書いていたのは、文体というと陳腐だからお洒落に言ってみただけかと思っていたが、文字通りの「声voice」なのだろうと最近思うようになった。 物語と小説。前者は「語る」も…

再生産のコストと価値

再生産(出産・子育て・教育)は、どのくらいのコストがかかり、どのくらいの価値を生み出しているのか。かなり間違っている気もするが、以下試論的に。 「子供が欲しいけど持てない」の理由として、まず経済的な理由が挙げられるが、実際にどの程度かかって…

子供とのコミュニケーション

話し方聴き方実践をやってみた。 - スズコ、考える。 この記事を読んで、『子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方大全』を買った。帯に「人間関係の原点である親と子のコミュニケーション」と書いてあって、はっとする。確かに、人間関係…

話し言葉と書き言葉

・話し言葉=音声 ・書き言葉=文字 という物理的な形だけでなく、 ・話し言葉=対話的・書き言葉=独語的という違いも往々にしてある。 書き言葉でも、相手を意識した対話的な文章があるし、話し言葉でも、マスに向けた対話的でないスピーチもあるので、き…

アマゾンではなく地元の店でリュックサックを買った話

子供の遠足にリュックサックを買った。アマゾンより数百円高かったけど、住んでいる地域の店で買った。まさか自分がこういう購買行動するとは夢にも思わなかった。1秒1円でも無駄にすると自己嫌悪に陥る効率厨だった昔が嘘のようだ。 地域の商店街が街の雰囲…

時計とヒトのオーバーホール

昔買ったヴィンテージ腕時計をオーバーホールに出したら、部品が劣化していたりで思わぬ出費。歴史あるものが良いと言ったりもするけど、実際モノをもたせるのは難儀だなと実感。最近まったく使ってなかったのも良くなかったみたい。 普段からのメンテと適度…

精神医学から臨床神経科学へ:4つの不都合な真実

先日、NIMH所長Thomas InselのAPA講演“From Psychiatry to Clinical Neuroscience: Four Inconvenient Truths”をウェブ視聴した。内容自体は、現状の精神医療の課題(インセル氏のFour Inconvenient Truthsは、高止まりする自殺率など、社会における課題)を…

仕事と再生産

ベッドタウンとして設計されたニュータウンで育ち、多少歴史のある地域に引越してみると、生活感というか生活観の違いに驚かされる。生活に精神的な充実がある。そもそもベッドタウンという呼び方自体が、仕事中心で他の価値を捨象した言葉と今更気づいた。…

精神 (psycho) と神経 (neuro) の間で

USのBRAIN initiative (Brain Research through Advancing Innovative Neurotechnologies) や欧州のHuman Brain Project (HBP) はじめ、脳科学研究がさらに加速しそうな2010年代の状勢。精神 (psycho)が神経 (neuro)で説明できる、それを目指すというのが今…

貴族社会の科学、市民社会の科学

スタップ事件では、理研の責任がみたいな話は多いけど、個人的には、「貴族社会における科学」と「市民社会における科学」の違いが浮き彫りになったことかと感じている。外交から音楽、芸術、衣食住まで、貴族社会から市民社会への移行で、大きな影響を受け…

ディメンジョン診断と介護保険制度

DSM5への移行に当たって活発に議論されたトピックとして、カテゴリー診断vsディメンジョン診断というものがある。簡単に言うと、カテゴリー診断というのは、XXX病といったカテゴリーに分類すること、ディメンジョン診断というのは、A軸がこれくらい、B軸がこ…

フェミニズムとparenting:『サイエンス』誌編集主幹Dr.Marcia McNuttへの期待

ジェンダー間のアンフェアさが話題になることが多い。中でも育児などのケア負担のアンフェアさが問題だとすると、これをフェミニズムという「女性問題」的な視点で語るやり方は、論理的に妥当な議論に成功したとしても、ともすると問題の悪循環を生み出しか…

隠喩としての『アナと雪の女王』

(以下内容を前提に)『アナと雪の女王』のエルサを、「能力高いけどコミュスキル不足で、その能力を活かせず他人を傷つけがちで、ゆえに他人と接することができず孤独がちな人」*1と捉えると、心理学・精神医学周りの話としても含蓄が深い。 というのも、そ…

ジョン・ラセターの逆襲:『アナと雪の女王』

遅ればせながら、やっと見た。とりあえず完成度が凄い。CGのクオリティ・ミュージカル部分の挿入の妙・ディズニープリンセス像の発展的自己否定・女に内在する2つの欲求の描写など、内容は色々言われている*1ので割愛するが、製作としてもピクサーとディズ…

渋谷再開発と東急電鉄

VR動画と模型で体験、激変する渋谷駅|日経BP社 ケンプラッツ渋谷駅再開発の建築デザインに隈研吾とSANAAを起用 | Fashionsnap.com 城南地区という東京の中でも地価や文化水準が高い地域の「首都」のわりには、最近ぱっとしない渋谷も、六本木、丸の内などと…

精神疾患ゲノム研究 2014年7月現在

テッド・スタンレーさんという方がブロード研究所(MIT x ハーバード)へ、精神疾患研究目的に650億円相当の寄付したことが、神経科学・ゲノム界隈で話題になっている。Spark for a Stagnant Search: A $650 Million Donation for Psychiatric Research ここ…

電子投票

電子投票システムを国や自治体に期待する前に、勝手に作ってしまって、政府に「あげる」くらいのが一番早いかも。エンジニアでも興味ある人は多そうだし、ファンディングもクラウドから富豪までありえそう。というのも、政府に作ってもらうのを期待するのは…

女の自己肯定感

母親の呪縛~自己肯定できない女達 - ぼくら社Blog大人になってから自己肯定感を高めるには - こじらせ女子のつまらない出来事 興味を惹かれながら読み進めつつも、やはり気になるのは「父の不在」。そして、女児の自己肯定感というのは、(男児に比べて)父…

フェアネスに至る武器としてのDNAシークエンス

ヘビーシッター事件で、女性側を擁護する立場を取る人の中には、こういうケース一般で、なぜその「元夫」は責められないのか?と思っている人も多そう。なぜ女ばかり責められるのか、と。 ベビーシッター宅での2歳児死亡事件についての解説 | 駒崎弘樹公式サ…

科学における「概念」の位置づけ

STAP細胞問題をめぐって(武藤) 文系の研究者からみますと、生命科学(あるいは理系全般?)の研究者は、論文の「背景」・「目的」に対する思い入れが少なすぎます。・・・個人研究を中心とする文系の研究者にとっては、自分のレゾン・デートル証明のた…

The accidental epigeneticist - ある心理士と経済学者の一例

Behaviour and biology: The accidental epigeneticist (Nature, 2014, News Feature)非行や犯罪への心理学的な興味から始まり、経済状況や家庭事情などで不利な境遇にいる子供のコホートをしていたDr. Richard Tremblay。コホート研究を通して、幼少期の環…