ideomics

オブジェクト思考ブロギング

2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「産業人の未来」 ピーター・ドラッカー 

(2007年10月7日の再掲) 先日ドラッカーの「産業人の未来」(1942年)を読み終わりました。「社会における人々の位置づけと役割」、「(社会で中心的な)権力の正統性」を切り口に、歴史を振り返りながら(特に全体主義批判を通して)、産業資本主義社会に…

村上春樹についての少々のメモ

1Q84を読みたい。今までちゃあんと通読したのは3作品程しかないし、そこまでファンでもないのだが、この作品は妙に気になる。おそらく、今までよりも実社会との接続が多いような気がするからだろう。 昔はデタッチメントを代表する作家とされていたが、オー…

「ドラッカー20世紀を生きて―私の履歴書」 ピーター・ドラッカー

日経新聞の「私の履歴書」から編集した本。彼はなかなか自分のことを記そうとしないタイプの人なので、伝記的な作品はこれまでほぼ皆無だった。なので、彼の思想とか考え方を、彼自身の人生と引きつけて考える際、この伝記的な資料は、短いながらも貴重と言…

「新しい資本主義」 原丈人

全体として素晴らしいが、特に感銘を受けたのは、彼がビジョンを持ちながら、投資をしていく戦略を描いた部分。 コンピュータはその名前通りcomputation(計算)をする機械である。したがって、ウェブやメールといったコミュニケーションに最適なわけではな…

Foreign Policy/Prospect list of top public intellectuals

英語圏のインテリ向け雑誌が選ぶ、現代の影響力ある知識人リスト(100人)2008年版は http://www.foreignpolicy.com/story/cms.php?story_id=4314 2005年版は http://www.infoplease.com/spot/topintellectuals.html という感じ。 2008年版にはジャーナリス…

「知識人とは何か」 エドワード・サイード

これからの知識人を支えるものは、アマチュアリズムであるという議論が印象的だった。 ミシェル・フーコーが「これからの知識人は、全体を見通す立場に立てることはないだろう。細分化された専門家達にとって代わられる。」といった趣旨の発言をしていたが、…

古都ニューヨーク

古くからのニューヨーカーは、クリスマス・プレゼントの本を買うとき、アマゾンではなく地元の本屋で買うようにしている。そちらの方が地元の経済が潤っていい・・・とある記事の中で、この一節を通りがかったとき、私は軽いショックを覚えた。 私が幼かった…

The New York Timesの危機

マスメディア(新聞、ラジオ、TV、雑誌)の危機が叫ばれて久しい。ウェブによる侵食、広告の減少などで多くの媒体が青息吐息。http://www.economist.com/daily/columns/businessview/displaystory.cfm?story_id=14072274 新聞の中の新聞と呼ばれるThe New …

Bianchi Pista

鉄(クロモリ)製のビアンキのピストが欲しくてたまらない。 ビアンキは現存する最古の自転車メーカーらしく(1885年創業)、ギアのなかった当時の自転車に一番近いのが、このピストにあたるそうな。歴史あるものには弱い上に、こういった"スタンダード"な顔…

「アースダイバー」 中沢新一

地形によって人の生活は変わる。かなり文明の進んだ土地でも、地形によって培われた太古からの文化は容易には変わらない。東京も然り。東京には色んな街があって、その違いがとても楽しいけれど、地形が違いを生んでいるといえなくもない。 アースダイバーは…

「建築家 安藤忠雄」 安藤忠雄

極めてスタンダードな安藤忠雄入門。ある程度彼について知っている人も、改めて通史的に見ることができるという意味で、何かしら新しく得るものがある。 作品と人生を通時的に見ると、ひたすらに「スタンダードさ」が浮き上がってくる気がする。題名に「建築…

「センチメンタルな旅・冬の旅」 荒木経惟

実家の黒柴が倒れたときの一番後悔は、彼の写真をもっと撮っておけばよかったという後悔。思い出は写真に撮らない方が本物になるといったロマン主義もあるようだけれど、何にせよ残せるものは残せるにこしたことはない。人間の記憶はそんなによくできたもん…

三島由紀夫の往生際

1970年あたりの出来事や思潮を、ブラウン運動さながらにくるくる回っている自分に、ふとよぎった映像。 医者として考えざるをえない課題に、死というイベントとどう向き合うかというのがある。過剰なまでに死なるイベントに意味をもたらす のはあまり賛成で…

犬死す

20日の昼に我が家の黒柴が永眠した。だいたい12年くらい一緒にいただろうか。動物愛護協会から譲り受けたときは推定6ヶ月〜1年だったから、それなりの歳になっていた。 医者(研修医)していると、たくさんの臨終に会って、だんだん感覚は麻痺していくけど、…

コンサルタント+精神科医の石塚幸雄さん

昨日の会話にて話題として触れた方慶応医出身で、渡米。ハーバードあたりに勤めた後、マネジメントコンサルタントに。コンサルで働いたキャリアを生かして、精神科医として、企業の経営陣向けにメンタル・コンサルティングをやっているとか。1938年生まれで…

「パタゴニア」 ブルース・チャトウィン

チャトウィンを旅人というのは不適切であろう。彼は定まった家を持って旅に「出かける」というあり方ではなく、むしろ移動し続けるというあり方を選んだ。ある人は彼をベドウィンとか遊牧民といった言葉で表現する。しかし、それは適切な言葉だろうか?ベド…

価値観の合う友人との付き合い

昨日は語学留学で東海岸とイギリスに半年出かける友人を囲んで数人で集まった。 神楽坂でルームシェアする予定の彼とはとても嗜好が合って楽しいのだけれど、来月から半年ほど物理的な距離がぐんと広がる。残念なことではあるが、同時に(彼だけでなく、自分…

「ツール・ド・フランス」 クラフトワーク

今年の4月に自転車を買った。同僚に自転車大好きな友人がいて、それに影響された形。直接に購入に踏み切った後押しをしたのは、この音楽。 いいですね〜マン・マシンの一体感とスピード感を表現したらしいけれど、まさにそんな感じ。しばらくこの音を聞きな…

1980年という境目

昨日は前の病院の同僚(大学の同級生)が東京に来ていたので、ひさしぶりに他の友人も交えて飲んだ。彼は、音楽から自転車から写真からアカデミックから色んな分野に造詣が深く、相当な量の知識(単なる情報とは区別したものとしての知識)を持っている。紆…

「新世紀メディア論 新聞・雑誌が死ぬ前に」 小林弘人

メディア再編やウェブメディアVSマスメディアといった議論が盛んだが、これは紙媒体の経験者(自称メディア野郎)がウェブメディアについて語ったもの。ワイアードやサイゾーといった紙媒体(雑誌)の編集をやり、その後ウェブ上のメディアを立ち上げたらし…

「ニューヨーク流たった5人の大きな会社」 神谷秀樹

「バンカー」という言葉に憧れを抱くようになったのはいつからだろうか。Bankerという綴りには、銀行員という日本語とは違った趣がある。・・・クラシカルな家具をしつらえた落ち着いた部屋で、顧客の声に耳をかたむける。豪華ではないもののしつらえの良い…

TVゲーム ・・・ 「ユリイカ2006年6月 特集 任天堂 Nintendo」

ちょっと昔の号だけど、澤野さんという方の「DSの思想」というエッセイが面白かった。いわく、任天堂とソニーやマイクロソフトは競合として捉えられているが、任天堂の真の敵は「ゲーム有害論」であった。オモチャメーカーとしての任天堂は、家電メーカー…

腹腔鏡のリアリズム

産婦人科研修中につき、最近腹腔鏡手術というものを見ることが多い。お腹に4つくらい穴あけて、長い棒のカメラとか長い棒の先っちょにハサミがついたやつとかを入れて、カメラ見ながら細かく手術するというやつ。例えばこんな感じ こういった手術は、とても…

「グレングールド、音楽、精神」 ジェフリー・ペイザント

「あなたの本によっては、私は自分のことがよくわかったように思う。」グールドが死ぬ数時間前に著者ペイザントにこう言ったと伝えられている。 グレン・グールドのバッハ、特にゴルドベルク変奏曲(1981年録音)は世界に大きな感銘を与えたが、奇抜な行動や詩…

"Built to Last" James C. Collins

邦題ビジョナリーカンパニー長く続く企業に共通する性質を抽出し、きれいに文章に構造化した古典的な名著である。この本から、コアバリュー、ビジョンというものがいかに企業(ないし組織)にとって重要かという考え方が広まったのは、かなり有名。個人的に…

「沖縄文化論―忘れられた日本」 岡本太郎

素晴らしい紀行文学。こいつは面白い。 団塊世代退職を見込んで旅行業界ががんばってて、それに応じて紀行文学や旅系の雑誌が元気あるみたいだけど、思わぬ伏兵。ごぞんじ太郎さんが、沖縄を旅した際の印象を綴るエッセイだが、込められたエネルギー、文章、…

「すべての女は美しい」 荒木経惟

たぶん自分とは対角線の位置にいるからだろうか、アラーキーにはどうしても惹かれてしまう。色んな写真があるけれど、彼にとって中心となる「女」というのに、一番ダイレクトな文章で付き合ってみたのがこの写真+テクスト。被写体の人たちは、きっと町にい…

「千年、働いてきました - 老舗企業大国ニッポン」 野村進

少し前に話題になった新書。老舗に注目した著者のセンスも素敵だし、個々の企業の製品もなかなか興味惹かれるのだけれど、彼の分析で、 「(一部の)老舗の鍵は婿養子」 というのが一番面白かった。創業者はえてして自分の息子に会社を継がせたがる傾向があ…

イデミスギノ

ついこの間ひさしぶりにイデミスギノ(by杉野英実)にいった。最近はまったく甘いものを口にしないけど、あそこだけは別。まさにベツバラ。http://r.tabelog.com/tokyo/A1302/A130202/13002285/味覚のための芸術品というべきレベルで、ケーキという言葉をここ…

「デザインの原形」 深澤直人、原研哉、佐藤卓

普遍的なデザインを探求していくと、こういったモノに出会う瞬間があるのかもしれない。無限通りあるように思えるデザインにも、実は「正解」があるのではないか。何か1つの形に収束するのではないか。そんな風に感じさせてくれるプロダクトが世の中には、…