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オブジェクト思考ブロギング

じぶんがく/自分科学/psyence

自分自身の愚かさと付き合っていくのは難しい。他人の愚かさ(と思う/思ってしまうもの)と付き合っていくのは、なお難しい。

「だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい。」

ここで言われる「だれか」とは、まずあなた自身のことである。赦しとは、まず自分自身に向けられることから始まる。

 

意識 = conscious = con-science = 共・認識・・・誰とともに認識をするのか?・・・我とともに。我と我、としての我々(自我と自己)。我々のソーシャルネットワーク。我と我のソーシャルネットワーク

我々=我と我・・・=I&I&I&I&I&I&I&I&......
再帰性としての&が成立し続けることで、「私」は再結合的なin-dividual(分割できないもの)として存在している。「私」を限りなく分割してみると、「私」は永遠に再帰している分割された瞬間の連続。「私」とは、つまり再帰性のこと。分割された瞬間の連続。再帰的な関係が永遠と続く永遠再帰(eternal recurrence)。瞬間を限りなく短く分割してみると、人生は限りなく長い。永遠に再帰する我と我のネットワーク(ERN)。

 

意識とは、記憶の連続性、特に再帰的な自己認知の連続。自意識、自由、主体、内省・・・工学的な理解としては、再帰的な処理のことではないか、という気もしてくる。recall=想起とは、かつての自分を「再び呼ぶ」(re-call)という、声と聴覚の働きであり、呼ぶ者と呼ばれる者がいる。呼ぶものと呼ばれる(応える)もの。音響空間としての内部空間にいるかつての自分の「現在」を再現在 (re-current) とする*1。通貨(currency)で繋がる我々のネットワークを、再帰性(re-currency)として、我と我のネットワークとして内側に折り返す。

 

私の精神(geist)は、これまでの私という死者の霊(ghost)であった。おそらく個人になりきるのは、故人となってから、つまり、共時的な空間世界と完全に切断されてから、歴史化されてから。死者の霊=ghost=geist=精神となってから。書物とは、故人との想像上の対話。故人=死者の霊=ghost=geistとの親密で内密な秘密の対話によって、「精神 (geist=ghost) と時の部屋」なる内部空間を作る。

 

神との約束としての律法、人と人との契約としての法律。自分と自分とのコードとしての律法律。the Testamentならぬa testament/s・・・つまり遺言。瞬間瞬間の自分自身を埋葬し続けている。遺言(約束)を残し続けている。

「クリトン、アスクレピオスに雄鶏一羽の借りがある。忘れずに、きっと返してくれるように」(『パイドン』118A)

アスクレピオス=産婆が、ghost=geistの出産を促している。故人=個人による精神 (geist=ghost) の誕生が続いていく。我々は、=I&I&I...として、実は毎日毎時間毎秒、遺言を残しつつ誕生し続けているのであった。自分自身を埋葬し続けることによって生まれる精神 (ghost=geist)として。

 

神との約束としての律法、人と人との契約としての法律。自分と自分とのコードとしての律法律。まずは自分と自分との契約としての律法律。法による統治性、つまり法治性を内側に折り込むことによって、強権的でもなく、馴れ合いとしての慣習でもなく、約束に基づくな関係へと。口約束、書類契約、プロトコル、法律、コード。まずはじまりに約束がある。

ニーチェの偉大さは、債権者-債務者関係こそがあらゆる交換に対して第一次的なものであるということを、いかなる躊躇もなしに明示したことにある。人はまず始めに約束する。」(ジル・ドゥルーズ『批評と臨床』裁きと訣別するために)

統治機構に従う、統治機構依存のメンタリティ (government mentality) を、自身の統治性(governmentality)へと折り返す。自我と自己との約束・契約・コード。

ギリシャ人が「法律nomos」によって理解していたものとは大きく異なり、まったく逆のものですあったのだが、ローマの「法lex」の実際の意味は「持続するつながり」であり、・・・法lexは人間と人間をつなぐものであり、それは絶対的命令でも暴力行為でもなく、相互の同意によって生まれるのである。」(ハンナ・アレント『政治の約束』)

 

じんぶんがくをうちにおりかえし、じぶんがく(psyence)へ。たましい(psyche)をしること(science)。
自然科学を内側に折り返し、自分科学(psyence)へ。魂(psyche)の認識(science)。


私・わたし・ワタシを見出す試みとしての、じぶんかがく/自分科学/psyence。liberty, freedomとは異なる日本語漢字としての自由は、「自らに由る」。自己に由る、あるいは自我に由る。むしろ、自我と自己の関係としての主体*2に由る。

 

「あなたは自分自身と結婚し、神の定めに従って1人の「夫=婦」となろうとしています。あなたは、その健やかな時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しい時も、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命の限り、堅く結合を守ることを約束しますか。」

 

自己と他者:自己愛について - ideomics


自分自身との共生の作法 - ideomics