「リストランテ・パラディーゾ」 オノ・ナツメ

眼鏡をかけた老紳士達が給仕を担うリストランテの話。

登場人物が主人公の若い女の子以外基本的に皆大人であること・・・何かに変にこだわったりすることもなく垢抜けており、押し付けがましくない思いやりがある・・・が、魅力をもたらしている。おそらく作者は、イタリア好きなのだろうと思うが、イタリアという良くも悪くも成熟・老成した国を、老紳士達という登場人物で描いているのがナイスアイデア。老紳士達の老成した魅力は、継続された歴史が最も長い国のひとつであるイタリアの魅力でもあろう。絵の構図もいい。消え入りそうな淡白な絵が、諦念と老成の雰囲気を醸し出す。

アングロサクソン的な考え方が主流な世の中ではあるが、イタリア的な価値観もやはり忘れないでいたいもの。ここでイタリア的な価値観と勝手に名づけているのは、衣食住と身近な人間関係をベースに半径数メートルの幸福を追求するところから始めるという意味において。もちろんひとつの偏見には違いないが、それなりに真実でもあろう。

とりあえずすごい好きなマンガのひとつ。何やら今度アニメ化されるらしい。

続編もある