ideomics

オブジェクト思考ブロギング

「新世紀メディア論 新聞・雑誌が死ぬ前に」 小林弘人

メディア再編やウェブメディアVSマスメディアといった議論が盛んだが、これは紙媒体の経験者(自称メディア野郎)がウェブメディアについて語ったもの。ワイアードサイゾーといった紙媒体(雑誌)の編集をやり、その後ウェブ上のメディアを立ち上げたらしく、両方の世界を知っている人ならではの客観性と視野の広さがある。

内容はだいたい期待通りのもの(いい意味で)。ウェブメディアを色々紹介している(slate, spot.us, reviewed.com, boingboing・・・)のだけれど、これがなかなか勉強になる。メディアの世界では有名だけど、一般的には(日本では)知られていないもので、ちょうど痒いところに手が届く感じ。

論説としても秀逸で、メディア関係に興味ある人なら、目を通してまず間違いはないでしょう。1500円で安いし。ただ日経ビジネスオンラインのこれでも
誰でもメディア宣言:日経ビジネスオンライン
充分かも。

    **

ブログを代表とするウェブメディアが生まれたことで、ジャーナリストとかメディア人というのが、さらにprofessionalとして働ける環境が整備されたのだなと思った。

今までは、組織に属するかフリーで動くかという選択はあったものの、結局出版社なり仲介を通さなければならず、個人で読者にリーチするという「開業」というのは、実質なかった。(独立して会社を立ち上げるというのはあったけど、コストや必要な人数を考えると、開業というサイズではない。)やはり組織に関係すると、サラリーマン化することが多いので、professionalという言葉からは離れてしまうことも多い。

医師にせよ法律家にせよ会計士にせよ、いわゆるprofessionalの魅力の一つに、組織に属さなくとも/介さなくとも、顧客にリーチできるというのがあると思うが、ジャーナリストにも、こういった「開業」を大々的に開いてくれたのが、ウェブメディアなのだろう。まだまだ日本では少ないかもしれないけれど、「開業」はこれからたくさん出てくる気がします。