「脱「ひとり勝ち」文明論」 清水浩
電気自動車Eliicaの開発者、清水さんの本。
「太陽電池+電気自動車」という社会への「マニフェスト」。
難しい話をせず、ビジョンを語り、多くの人を自らの夢見る方向へと誘うような文章。明快で、明るくオプティミスティック。読んでるだけで楽しくなってくる。シンプルにされた文章と図。すっと入ってくるが染み渡る。そして未来が楽しくなってっくる。TEDの雰囲気に似ている気がする*1。まさにビジョナリー。
言われていることは、多くの人が思っているだろうことで、情報としてはあまり新しいものではない。でも得るところは多い。表現、プレゼンの仕方が。本人は「自分で手を使っているわけではない。むしろ大きい予算を調達して『人に頼む』ようにしている。仕事の中心は『いろいろ能力のある人達に仕事を分担して依頼していくこと』」と述べている。まさにプロデューサー。
ちなみに本書でも触れられているが、日本人の発見って結構大きいものでも知られていないものが多いみたい。例えば、リチウム電池は旭化成の吉野彰さんが発明しているとか、ネオジウム鉄磁石は住友特殊金属の佐川真人さんが発明しているとか。自分も完全に初耳だったけど、このあたりはアピールの仕方を考える必要があるかも。もっと発明家をスーパースター的にフィーチャーできないもんかな。プロジェクトXやプロフェッショナルに倣って。このあたりのプロデュースって今後気になるところ。
図1 20世紀文明と21世紀文明の主な違い
* | 20世紀 | 21世紀 |
---|---|---|
支える科学 | 力学、電磁気学 | 量子力学 |
基本技術 | 内燃機関、火力発電、高炉製鉄 | 太陽電池、Li電池、ネオジウム鉄磁石 |
エネルギー源 | 化石燃料 | 太陽光 |
自動車 | 内燃機関自動車 | 電気自動車 |