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オブジェクト思考ブロギング

『モンスターズ・ユニバーシティ』

「その種において完全なものはその種を超越する」という言葉があまりに良く当てはまる。


アニメ、映画というより「世界」を作っている。映画の文法から評価されることもあるかもしれないけれど、「映画」とは違うんじゃないかと思ってしまった。これこそthe Creationならぬcreation。往復の飛行機で3回見てしまった。ピクサーにまたも戦慄。



animate=命を吹き込む、をしているという意味で、まさにanimationだし、どれだけ生き物らしいかという意味*1では、最高峰にいるんじゃないかいな、と。確かな"creation"。


On Creation - ideomics


自然のものや、既にあるものに対してアニマ=魂を感じるのが、原始的なアニミズムだとしたら、アニマ=魂を感じられるものを作るというのが、現代的なアニミズムという言い方もできるかも。アニミズムxテクノロジー


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アメリカの大学文化の紹介としても面白かった。特に、物語に通底するフラタニティ(友愛、クラブ、秘密結社)という概念*2フラタニティに入るための儀式は、黒魔法とか騎士団を模したものが多いらしいが、この儀式という手順が面白い。


というのも、フラタニティを直訳すれば「兄弟」になるけど、ある意味新しく兄弟を作ること、家族という単位の再編成rearrangementを起こすこととも言えたりするのかと思ったから。宗教的な団体でもシスター、ブラザーという呼称を使うが、これも同様の面白さがある*3。家族の再編成。そういう繋がりが作られる。明示的にフラタニティと言われる。その器として、大学がある。大学自体が宗教団体の産物由来であることも多いし、シスター、ブラザーの文化に近い要素もあるのかしら。


思えば、これは同姓だけでなく男女関係にも言えることかもしれない。というのも、結婚と言われるものこそ家族の再編成の最たるもので。例えば男女がくっつくのは非血縁がほとんどで、結婚とは家族関係の再編成rearrangement。大学におけるフラタニティという家族の再編成を経ることが、結婚というまた別の再編成の練習になっているのかしら。


トクヴィルは『アメリカのデモクラシー』の最初の方で、家族制度・文化から政治制度・文化を説明していた気がするけど、改めて感じるところがある。