ideomics

オブジェクト思考ブロギング

藤村龍至氏

鉄道デベロッパー - ideomics

の文脈において、藤村龍至さんは大変興味深い建築家だ。
彼の中心となる主張は、「批判的工学主義」というスローガンで表される。


ここで、工学主義というのは、社会工学(社会的/経済的な情報などから必要とする要求を満たす解を導く方法。マーケティングに近い意味で使っているよう)と人間工学(人体に合う形でプロダクトを設計する方法)に拠って、建物を設計するスタンスのことで、主に組織設計事務所やデベロッパーの論理。これに相対するのが、アトリエ派と呼ばれる建築家の一群で、こちらの側は、建築の(社会からの)自律性や、芸術性、人文性、批評性などを評価する。


藤村氏は、この2つの乖離を問題とし、工学主義に無批判に取り込まれるでもなく、一方的に否定するのでもない道を選択したいと述べる。名前の通り、批評性を持った工学主義。


マニフェストとしては、

の序文に簡潔にまとまっており、


の一論考で、詳細を述べている。


大雑把に言えば、工学主義とアトリエ派の折衷ということかもしれないが、単なる折衷に留まらず、大変面白いアイデアも提出している。特に、

で提案している、都市のモデル(詳細は本にて)は、個人的には相当面白かった。工学主義的な視点を利用しつつ、それに留まらない新しい形/カタチを見出すこと。


個人的には、常々建築家の才能や経験、感性をいわゆる「レジデンス」と呼ばれる分野で発揮して欲しいと思っているのだが*1、まさに↑のモデルは、どストライク・・・都市計画と建築の中間にあるもの。工学主義とアトリエ派の中間にあるもの。


藤村さんは、一時期オランダに留学されていたらしく、その間に、コールハース的な論理や、オランダ及びヨーロッパの都市計画に出会い、色々とインスピレーションを受けたのだろう。今後の著作や、論考が楽しみだ。


参照リンク:

ryuji fujimura architects -

藤村龍至 - Wikipedia

http://www.round-about.org/

*1:例えば、バブル的な色物扱いの六本木ヒルズだが、私は結構評価している