ideomics

オブジェクト思考ブロギング

「新しい資本主義」 原丈人

全体として素晴らしいが、特に感銘を受けたのは、彼がビジョンを持ちながら、投資をしていく戦略を描いた部分。


コンピュータはその名前通りcomputation(計算)をする機械である。したがって、ウェブやメールといったコミュニケーションに最適なわけではない。しかし、多くの人がコンピュータを使うのは、コミュニケーション機能のためである。ゆえに、計算を主体とした今のコンピュータと違った設計思想をもつコミュニケーション用の機械が必要だ。


そんなビジョンに基づいて、それにつながりそうなベンチャー企業に投資していくという。起業家がビジョンを持ち、それを自社で実現していくというのは聞く話であるが、投資家の立場で、VCを使って自分のビジョンを実現しようという姿勢が面白い。


具体的に投資先に事業内容も触れられていて、インデックスファブリック※というデータ管理の新たな理論に基づくデータベース企業とか、動画の圧縮技術(テレコミュニケーションに必要)の企業とか、そんな感じ。


例えば、ネットブックスマートフォンが普及しつつあるとしたら、原さんの言うような世界に一歩近づくことになるだろう(彼がどの程度ネットブックに絡んでいるかは知らないけど)。それは、PCという計算のための機械ではなく、コミュニケーションを主とした機械であるから。ワークステーションがPCに道を譲ったように、PCはネットブックに道を譲るのだろうか。


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はっきりいって、この人かっこよすぎ。友人が原さんの途上国プログラムに参加するらしいけど、うらやましい限り。



※ インデックスファブリック(IFX)の発表論文がウェブにあるが、理解できません(T_T))・・・解説欲しい・・・
http://xml.coverpages.org/ShadmonVLDB2001.pdf




数々のベンチャーを世界的企業に育成したシリコンバレーを代表するベンチャーキャピタリストが、日本を舞台に未来を語る。アメリカ発の金融危機は、市場万能・株主至上の金融資本主義の欠陥を露呈した。2003年時点ですでにこの事態を予見していた著者は、格差も恐慌も打ち破る究極の解決策を提言する。
ストックオプションは即刻禁止せよ」
「エネルギーと食糧は自由競争だけに任せるな」
「5年以上株式を保有する人だけの市場をつくれ」
「投資減税で新技術開発への資金を促せ」
「コンピュータに代わる新たなテクノロジーを生み出せ」。
マネーゲームに明け暮れるファンドの横暴を止め、終焉が近いパソコンに代わる新しい基幹産業の創生をめざす。バブル頼みの「幻の好景気」から、みんなが恩恵を受ける「本物の好景気」へ。日本こそが、この新しい資本主義の担い手となれる!


ただ前作の「21世紀の国富論」とほぼかぶる内容ではある。