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オブジェクト思考ブロギング

「アースダイバー」 中沢新一

地形によって人の生活は変わる。かなり文明の進んだ土地でも、地形によって培われた太古からの文化は容易には変わらない。東京も然り。東京には色んな街があって、その違いがとても楽しいけれど、地形が違いを生んでいるといえなくもない。


アースダイバーは縄文時代の地形からどのように、東京のそれぞれの場所での生活が営まれてきたのかを読み解く。一番単純なところでは、高低差による上地と下地の違い(上地は上流階級、下地は逆)など。


他には例えば・・・縄文時代は岬の先に墓場をつくったらしく、祖先信仰なりアニミズムと相まって、聖なる場所とされていたらしい。当時の岬の先というのは、今では上野公園あたりなどらしいが、こういった場所はパブリックな場所として保存される(谷中にはそのまんま墓地があるけど)。あるいは東京タワーが建ったり。(埋め立てによって、当時の岬は、今の高台になっている)


地形から人々の生活を読み解くのは、地理学の基本的な考え方になるけれど、東京といった比較的狭い範囲でかつ、かなり文明化された土地でこういった試みをしたというのが面白い。都市とか街並みとかに興味があるなら、かなりお勧めできる。


一番印象に残ったのは、地下道に触れたセクション。下水道の写真が一緒に載っていて、それが妙に記憶に残る。
「これからは、地上で営まれる生産の原理よりも、地下で微生物達が営む分解の原理が大切になるのではないか」
という趣旨の部分が、かなりぐっときた。


最近、ゴミや下水といった「静脈系」への関心が高まってきている(例えば、このリサイクルワンという会社http://www.recycle1.com/なんて興味深い)。



東京の無意識を探るスピリチュアルな旅へ!
縄文の夢、江戸の記憶……。太古の聖地にはタワーが聳え、沼は歓楽街へと姿を変えた。地下を流動するエネルギーとこの街の見えない構造を探る神話的精神の冒険!



建築ラジオというウェブサイトでも触れられている。蛇足だが、このサイトはなかなかいい。
http://tenplusone.inax.co.jp/radio/