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オブジェクト思考ブロギング

三本の枝

 

西方の三博士が、東方の島国に三本の木の枝をもたらした。東方の島国に住む人々は、この三本の枝をどう使っていいかわからなかったが、その地に育っている木に接ぎ木をしてみることにした。

 

一人目が運んだ枝からは、頑丈な樹木がまっすぐに伸びた。そこからたくさんの材木ができ、人々は雨風にさらされることがなくなった。神はその枝と材木を見て、よしとされた。

 

二人目が運んだ枝からは、葉が生い茂り、赤々とした果実がなった。人々は飢えることがなくなり、病に悩むことも少なくなった。神はその枝と果実を見て、よしとされた。

 

三人目が運んだ枝からは、大輪の花が咲き、芳しい香りがあたりに広がった。この華やかな花はやがて散ってしまった。神はその枝と枯れた花を見て、・・・それもまたよし、とされた。

 

ある男が、枯れた花の中に一粒の種を見つけ、それを家に持ち帰った。種を蒔き、水をやったが、この木は育つのに時間がかかった。仲間の男たちは、「育てるのは女の仕事だ。女にやらせておけ。」と、狩りに出かけたが、男は毎日水をやって、虫を除き、周りの草をむしった。

 

この木からは、やがて大輪の花が咲き、芳しい香りがあたりに広がった。女も男も、この花の華と香りに飽きることがなかった。この木の種からも、やがて堅い樹木が育ち材木ができた。この木の種からも、やがて葉が茂り青々とした果実ができた。

 

神はその種と花と材木と果実を見て、これもまたよし、とされた。