ideomics

オブジェクト思考ブロギング

アナキン・コンプレックス

"If you only knew the power of The Dark Side. Obi-Wan never told you what happened to your father."
"He told me enough. He told me you killed him."
"No, I am your father."
"No... that's not true. That's impossible."
(Darth Vader & Luke Skywalker, from "STAR WARS")

 

現代、「父」は殺されたことになっていたが、実は仮面をつけて生きていた。会社に行っていた。息子は、本当の「父」は、深夜に帰宅する彼に殺されたのだと思っていた。でも本当は彼が「父」だった。信じられない。ありえない。退職して素顔を見せる。産業時代の父の仮面。

 

Darth Vader (Dark Father)*1・・・闇夜の夜に帰る父。邪悪などではない。単に夜が好きなだけなのだ。新橋の夜が好きなだけなのだ。銀座の夜が好きなだけなのだ。サラリーマンたちは、会社(economy)を家(oikos)として、兄弟の契りを結ぶ。リーマン・ブラザーズの始まりである。

 

家政から生まれた家計と家庭。家計はフォースを身につけ、家庭を圧倒し、家政の地位を得た。oikos-nomosから生まれたeconomyが、oikosのnomosそのものになった。会社(economy)が住まい(oikos)になった。Darth Vaderに殺された「父」の素顔を知ったのは、彼の最期の時だった。

 

「だれでもわたしのために、また貨幣のために、家、兄弟、姉妹、母、父、子、もしくは畑を捨てた者は、必ずその百倍を受ける。すなわち、今この時代では家、兄弟、姉妹、母、子および畑を迫害と共に受け、また、きたるべき世では永遠の資本(年金)を受ける。しかし、多くの先の者はあとになり、あとの者は先になるであろう」(マルコ10:29-31を改変)

 

リーマン・ショック。リーマンのショック。父には居場所がない。彼らを犠牲の山羊として悲劇のカタルシスを得るのではなく、むしろダースベイダーとアナキンの二人を法廷に招く闘争の作法。ダースベイダーとアナキンの闘い・・・自らと闘い続ける。自らが勝利者になり、そして敗北者にもなる。英雄ともなり、そして悲劇ともなる。

 

親権(権利)を献身としてではなく、人権として真剣に健診。親権の証券化。親権の金融的権利化。親権者を資本家として、イエを資本化。Capital: a critique of political-eco-nomyは、polis-oikos-nomosもcritiqueすることになるのか。

 

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パターナリズムの問題。建国の父(Founding Fathers)、神父(Father)、何が父なのか?パターナリズム=パターン&リズム・・・彼のパターン&リズムとは何なのか。ラテン語のPatrici(貴族)、建国の父的な表現を『新版ローマ法案内』で匂わせていたが、Pater(父)と関係あるのだろうか。

 

『ポリテイア』の哲人の話も、統治者という訳語が基本だけど、守護者という表現もあって、行政機構がなかった時代の数万人以内でのリーダーは、模範や象徴、権力というより権威、というニュアンスも大きかったのかもと思った。英雄ってそうだし。真似ぶ>学ぶ。学びに対する真似びの圧倒的優位。何かを範として真似ぶ。無意識>意識に似ている。学ばせる?・・・あなたの姿が真似ばれている。あなたの姿がばれている。

 

「人は自分の家を治めるように、しかも国家のなかで自分の役目を果たすように、自分自身を治めなければならないのだから、・・・自分自身の取締りを確実に実施すること、自分の家の管理を行うこと、国家の統治に参与すること、これらは同じ型の三つの実践なのである。・・・クセノフォンの『家庭管理(オイコノミコス)』が明示するのは、これら三つの≪技術≫のあいだの連続性と異質同形性であり、また、個人の生活におけるこれら三つの営みの時間的な継起でもある。」
フーコー『快楽の活用』)

 

大規模な行政国家("国"家)で、政策の制作に家のアナロジーを使うのは悪手も悪手だろうが、ポリスサイズの~数万人(世帯で数千?)の都市国家(国”家”)では、家のアナロジーがむしろ有効な面があるということだろうか。

 

*1:オランダ語でDark Fatherの意味らしい。