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オブジェクト思考ブロギング

渋谷再開発と東急電鉄

VR動画と模型で体験、激変する渋谷駅|日経BP社 ケンプラッツ

渋谷駅再開発の建築デザインに隈研吾とSANAAを起用 | Fashionsnap.com


城南地区という東京の中でも地価や文化水準が高い地域の「首都」のわりには、最近ぱっとしない渋谷も、六本木、丸の内などと続いて、文化的にも新しいもの生み出せるだろうか。渋谷駅の大幅工事は不評だけど、さすがに東急もわかっててやってるはずで、だとしたら、渋谷を本当の意味でのターミナル駅(=終着駅。トランジットではない)にするという野望だろうし。


渋谷の再開発はどうやったら面白いのか。記事の通り、ビットバレー的なポジションはひとつあるにしても、他の都市文化としてのテイストもありうるだろうか。これまでの再開発だと、美術館がひとつの価値観シグナルになっているが、森美や三菱一号館のようなrepresentationとしてどんなものがありうるか。


オフィス需要以外のコンシューマー向けの面としたら、六本木、丸の内、銀座からこぼれおちてくるような、しかしお金になるニーズを捉えられると良いのかも。城南地区の人口動態特性を鑑みると、シニアやキッズを集積できるようなエンタメやイベント。渋谷の再開発の一面は、ショッピングではなく、教育関係を軸にしてみるのも一手かもしれない。安定収益というだけでなく、東急電鉄自体が、「東横沿線は学園都市として付加価値が高まっていくことになる。それと同時に、多くの通学客という安定的な乗客を獲得した。」という歴史があるから。
ウィキペディア五島慶太の項より。五島慶太 - Wikipedia


慶應、学芸大学、都立大学は言うに及ばず。自由が丘も今でこそ女性向けのショッピング街という感じだけど、元は自由ヶ丘学園高等学校から付けられた名前と言うし。教育施設を盛り上げていくと、周りの環境も良くなるという循環はどの国でもあるっぽい。デベロッパーや鉄道会社のように面で事業する母体(この場合は東急電鉄)にとって、教育機関は結構キーになるプレイヤーなはず。


渋谷の場合は、ビルという制約があるけど、むしろそれを活かすように大学のブランチをビルに誘致するような形はありうるだろうか。大学の飛びキャンパスをテナントに用意して、例えばOB向けの講義やら交流をするような。リタイヤOBをターゲットにして、寄付金のファンドレイズができれば大学にもメリットがある。↑で城南地区の高学歴シニアを「再・顧客」にできないものか。OBネットワークの組織化ということだが、加えて年齢的に横断的な交流になりがちな一般的な教育機関の弱点を補うように、年齢縦断的な交流を支援するイメージ。六本木ヒルズは、外資や新興IT企業をテナントにすることで付加価値を高めたわけだが、これを有名大学でできれば面白そう。


SCSM - Social Capital Stock Market - ideomics

学校の意義がface-to-face interactionとすれば、いかに交流の場をつくるか、いかに人と人とをつなげていくかが「学校の仕事」になる。


教育というと何か堅苦しいが、イメージとしては、social capital(社交資本)の蓄積機関みたいな感じ。いわゆる学校らしい学校をビルの中に作るのは現実的ではないが、↑みたいな大学の飛び地や塾やそれに類するもの(幼児教育や生涯学習含め)といったものの「商店街」というのはありえるだろうか。