ideomics

オブジェクト思考ブロギング

臨床研究の学術雑誌

American Heart Association(AHA)*1が発行している学術雑紙に"Circulation"というものがあり、かなりインパクトファクター高い。AHAは研究者・臨床家だけでなく、患者サイドの参加があり、むしろ患者支援団体、というか、それがオリジンだとか*2。という意味で、"Circulation"こそが、リアルな「臨床研究」雑紙として際立っているのかもしれない。研究者の「内輪」だけではない雑紙という点で。その軸においては、NEJMもLancetも「臨床度」は十分とは言えないのかも。


自閉症関連研究のサポートや情報提供をする団体として、Home | Autism Speaksが有名だけど、AHAと同様に、Autism Speaksは、AHAのような「臨床研究」をエンパワーするプラットフォームになれるだろうか。具体的には、fund raisingや学術雑紙の発行といった意味で。研究資金というと、国家経由のものが多いけど、国家財政が厳しくなってきたら、そういう方向を目指すのが主流になるのかも。


ここ数年で、自閉症関連研究が非常に盛んで、Natureを始めとするトップジャーナルにたくさん報告があるけれど、その背景のひとつとしては、例えば、Simons Foundation Autism Research Initiative (SFARI)*3による積極的な研究支援があるらしい。この財団の設立者のSimonsさんは、ヘッジファンド運営だかで千億単位の年収だかがあるとかないとか。お子さんの関係から動機づけられ、既に財団経由で、研究にも200億円くらい投じているらしい。これは半端ない規模だ。サンフランシスコ出張:学会と財団、サイエンスのファンディング - ideomicsでも触れたが、今後は、こういった財団経由のfund raisingを頑張っていかなければならないのかもしれない。


ただ、このSimonsさんは、もともと数学バックグラウンドらしく、基礎科学・数学の発展もサポートしている。

SFARI's immediate priority is to drive research that benefits individuals challenged by autism spectrum disorders, but its research programs are expected to yield insights into the neural mechanisms of fundamental human capabilities, thereby complementing the foundation’s work in other basic sciences.

という部分がなかなか興味深い。確かに、autismは一種の障害ともなりえるが、同時に、「天才性」の説明にもなりえることがあるから。実際、研究の世界を中心に、尋常ではない成果を上げている人の中にも、こういった特性を持つ人は少なくない。この文章が述べている通り、障害となりうる部分をうまくカバーしつつ、彼らの「天才性」をうまく他にも適用できたら、なかなか素敵そうだ。


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2013年2月28日追記
友人より指摘頂いたが、Circulation自体は、論文が通るかどうか、ネットワークなどの要素も少なくない可能性があるとのことで、まったくクリスタルクリアな雑紙ではないかもしれない。という点を追記。とはいえ、これはどの雑紙でも多かれ少なかれある傾向ではあるけれど。