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サブジェクト⇔オブジェクト思考ブロギング

メイカーズ・ユニクロ

ユニクロは、値段と質というコスパもさることながら、探す手間やあれこれ悩む手間などの"時間からのコスパ"が高いのが、忙しい人に受ける理由のひとつなのかもしれない。いわば、水道のように一種のインフラ化してる。インフラを語るフレームワークとして、コスト・クオリティ・アクセスという3軸が定番にあるが、インフラ的なものほど、一定品質以上のものへの「アクセシビリティ」が結構重要になってくる。という意味で、松下幸之助翁の「水道哲学」を最も継承してるのは、柳井さんだったりして。そいや、ユニクロは"上水道"だけでなく、リサイクルやリユースといった"下水道"も手掛けていた。


が、インフラ化の反面として画一化がある。クオリティコントロールを徹底すると、ダメなものはない代わりに、尖った商品もできにくい。実際、ユニクロへの批判として、画一性はよく挙げられる。Unique Clothingなのに、画一と。これに対しては、レゴのような組み合わせてで個性を作ってくださいというのが、「公式見解」なのだろうが、やはり画一性というのは否定しがたい。


しかし、徹底的にインフラ化されて、プラットフォームになってしまえば、販売されている服そのものは最早背景と考えて、一部の服好きのカスタマイズ/DIY欲を促し、かえって服飾デザインのデモクラタイズが起こせたりしないだろうか。いわば、キャンバスとしての服飾=ベーシックを売るというスタンスで。パーソナル・ファブリケーションも服は難しそうだけど、(セミ)メイカーズ・ムーブメントみたいなイメージで。徹底的に「水道/水」となってしまって、あとはみなさんに「料理」を任せます。みたいな。


ユニクロはお洒落人口からは、当然距離を置かれやすいけど、もし服飾世界のメイカーズ・ムーブメント的なものをempowerできるなら、今までと違う価値観のメイカーズ志向のブランドとして、支持を受けたりできないかしら。想像力の足りない頭で考えると、例えば、カスタマイズ服のコンテストやデザインのコンテストをして、そこから秀逸なものを、デザイナーとの期間限定コラボ的に商品化するとか。服好きが、消費するだけでは飽き足らずデザインしたくなる欲求があると仮定して。最近のデザイナーとの期間限定コラボはそれの中間的な雛形かもしれない(つまり、服好きな人たちをデザイナー化する)。


水道哲学が徹底化すると、土管屋になる。通常、土管屋って言葉は否定的ニュアンスだけど、携帯キャリアに対するアプリ会社のように、そこから色々なものが生まれたら、楽しそうだ。コーポレートベンチャーキャピタルの時代 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)に触れられているようなコーポレート・ヴェンチャー・キャピタル的に、投資的に有望そうなデザイナーをパトロネージュしていくのもありかもしれない。とはいえ、今の効率重視のビジネスを破壊しかねないし、なかなか難しそうだけど。


サンフランシスコ出張:街並み - ideomics
のように、ユニクロを、服飾産業をテクノロジー産業として再定義した企業と解釈すると、ハイテク方向へのR&Dだけでなく、製造業としてのマニュファクチュアリングでの革新も期待しうる。服の製造をオーダーメイド、パターンオーダー、レディメイドと分けるなら、それにセルフメイドも付け加えうるし、既に個々人でやってる人も相当多いだろう。それをorganizeして、consumer-generated content化する。


と、ユニクロにベビー服を買いに来て列に並びながら、適当な妄想をしてみた。


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2013年3月21日追記

TABLOG:『「高感度な消費者」という言い方は消費者を馬鹿にしている。』〜田端発言録:【パネルディスカッション】2013年の展望 時代をつかむ高感度層はどこに? - livedoor Blog(ブログ)

“消費の時代”から“生産の時代”へ - デマこい!

などに書かれているように、消費者としていかに洗練されても、生産的でなければ、あまり承認されない、もっと言うと、リスペクトされないという傾向は徐々に強くなっていそう。服飾においても、ブランド物をセンスよく着こなすというSATC的なあり方から、もうちょっと生産者方向へ、prosumer方向へと進むのかも。