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オブジェクト思考ブロギング

公衆衛生大学院の政策への意義

身の回りの人が公衆衛生分野に進んでいる。なかなか興味深いトレンド。自分自身がその道に進むわけではないが、公衆衛生分野は①②の意味でこれから非常に重要だと思う。


①日本から世界に発信

日本医療政策機構の元副代表の近藤先生によると、日本の医療政策は世界からも関心はもたれているが、なかなか英語での文献が少ないので、他国からのリファレンスが乏しいらしい。今の医療制度を「改善」していくアプローチも当然重要な柱だろうけど、今の制度を英語で発信していくプレイヤーもかなり大事っぽい。日本にいるとなかなか感じにくいけど、言われるとそりゃそうなんだろうなと思います。だってWHOで一番って言われる上で、コストが最も低ければ、多くの国は気になる。日本の制度を比較の土台に乗せたり、ちゃんとした比較を日本国内の視点だけでなく、「他国からの視点でも」行うためには、まず英語での発信が大事になりそう。


②政策科学のイノベーション:RCTの導入

薬の治験なんかでよく使われているRCT。メカニズムは十分解明されているとは限らないけれど、「効果」にフォーカスして、介入と非介入(または別な介入)の比較をしたいときに使う手法。これって、おそらく政策にも応用できるのでは、と思ったりする。完全なランダム化は難しいけど、地域Aと地域Bで、それぞれ別な政策を行い、時間が経ってから、一定のアウトカムを評価・比較する。そして有効だとされるパイロット政策を、より広範な地域にスケールする。


公衆衛生というディシプリンを通して、このRCTなる概念・価値と実行を政策科学に持ち込むことができたら、それは意義深いことではないかと。政策科学者=ある種の臨床研究者。政策の比較は、いわゆる薬などの臨床研究よりも大変だろうし、コンセンサス取るのも大変そう。でも、そういった文化が根付いたら、価値大きい。RCT自体概念としては非常にシンプルでアイデアとしてはまったく新しくもなんともないけど(数億人くらい同じこと思っているだろう)、人間相手にやるのは実践的にかなり大変なので(やると実感)、実践としてのRCTを経験した人が政策フィールドに一定数行ったら、インパクト大きいのではないかと。


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2013年2月27日追記:

によると、既にアメリカでは、政策決定の場面において、RCT的にパイロットプロジェクトをして、有効であれば広範囲にスケールするというのがなされているみたいです。(実際にどうワークしているのだろうか)