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ideomics

サブジェクト⇔オブジェクト思考ブロギング

コントリビューションのジレンマ / Contributor's dilemma

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先週のNature(2011年10月13日)から
"Strong contributors to network persistence are the most vulnerable to extinction"

生き物の共生やビジネスにおける契約関係など、相互に利益を得る関係(ネットワーク)を解析した論文。生き物では、花と花粉を運ぶ虫(例えばミツバチなど)を、ビジネスではNYのデザイナーと服飾業者を取り上げている。ノースウェスタン大学ケロッグスクールが関わっている。


著者らのシミュレーションによると、相互利益をもたらすネットワークで、「そのネットワークに最も貢献しているものが最も消滅しやすい」とのこと。消滅という言葉が強すぎるなら、生き残りにくくなるというべきか。直感的には、最も利益をもたらすものが安定してそうだし、一番残りやすそうだけど(そっちの方がフェアだし)、その直感と反する結果。誇張して言うならば、貢献すればするほど生き残りにくくなるということかしら。かなり衝撃的。


ネットワークに貢献しているものが抜けると、ネットワークは脆くなる。ネットワークに貢献しているものが絶滅しやすいとなると、ネットワーク自体も不安定になりやすいということ。絶滅や適応の理由を個々の個体に求めるのが普通だけど、こうして構造に由来を求めるやり方はなかなか新鮮。その理由は示されていないので、なんでなのかは今後の課題。そして、ネットワーク効果*1と矛盾しそうでもあるので、このコンフリクトの解決も課題。ネットワーク形成の時期によって違うのかしら。


http://d.hatena.ne.jp/shoshoshosho/20110707/p1にて美しく表現されている通り、個々の点ではなく、そのつながり=星座を見ようとするアプローチ。constellationという言葉はとても素敵な響き。いつかconstellation analysisなんて言葉を論文で使ってみたいものだ。オシャレだわ。


まだざっと眺めただけで方法をちゃんとチェックしたわけではないし、この報告にどの程度信憑性があるかは自分の力量では判断できないが、もし妥当だとすれば、HBSのクレイトン・クリステンセン*2が「イノベーションのジレンマ*3にて、企業の失敗を、企業自体の性質ではなく構造に見いだしたように、同様のエレガントな仕事だと思う。ビジネスの例は、NYの服飾業界だけだったけど、これが他にも当てはまるかどうか。ビジネス関係の人の経験・見方も聞いてみたいところ。これをインターネット企業なんかに当てはめると・・・


再読:「ウェブ×ソーシャル×アメリカ――〈全球時代〉の構想力」 - ideomicsで触れたように、innovation=evolutionという視点で、生態系・進化論とイノベーションやビジネスの世界を眼差したいと思っていたので、非常にタイムリーだった。この方向性でもうちょっと何かできそう。そして何かやってみたい。自分の好みだけかもしれないけど、最近自然科学者と社会科学者のコラボが増えてきているような気がする。面白い。