「マグネシウム文明論」 矢部孝 ・ 山路達也 著

404 Blog Not Foundの書評を見て手にとった。
(http://blog.livedoor.jp/dankogai/)

ざっくり言うと、化石燃料の代わりにマグネシウムをエネルギーの通貨として使用しようという提案。

マグネシウムの利点としては、

・海水に大量にあり、化石燃料よりも貯蔵量が莫大

・重量あたりのエネルギー量としても、ガソリンの半分強あり、値段が下がれば化石燃料に太刀打ちできる。特に電池の極として有望。トヨタは既にマグネシウム電池をＲ＆Ｄしている？

・そのためには精錬が、安価に簡便にできないといけないが、太陽光によって励起するレーザーシステム（著者の専門）が考えられており、実用化すれば、太陽光を使って、安価にCO2フリーに精錬できる。使用したマグネシウム（酸化Ｍｇになるらしい）のリサイクルもレーザー精錬でできる。

・また世界的な水不足から、海水を淡水化する必要があるが、その際にマグネシウムが不純物として出てくるので、それを利用しうる。ちなみに、著者は淡水化技術も考案している。

工学系の人は既に知っている世界なのかもしれないが、素人的にはオドロキの連続。マグネシウムなんて思いつかないよな・・・まさに「オルタナティブ」。ここまでロードマップを構想する想像力にも畏れ入る。ともすればトンデモ系だが、自分的には誠実な印象。まあ専門家でもないので、実現可能性はよくわからんけど。ＰＨＰ新書というマイナーなカテゴリーだが、捻りのきいた発想を求めている方は必見。