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オブジェクト思考ブロギング

今回の三陸沖群発地震に関して雑感

ますます被害の実態が明らかになっている。まだ寒い中本当に大変なことだと思う。被災地の皆さんの健闘をお祈りしたい。東京も若干影響があるが、この震災を嘆くだけでなく、得た教訓を活かさなければ。今回の三陸群発地震に関して雑感。


・やはり日本国民の平均的な行儀のレベルは非常に高い。海外メディアも持ち上げているところがあるみたいだけど、素直にすごいなと。被災地において、(おそらく店長が行方不明で)閉まっているコンビニされ、ガラスを割って食品を盗ろうとする人がいないとか。レベル高い。これはこの悲劇な出来事の中で、ポジティブなものとして積極的に共有していけたらいいのでは。


・メディア。報道をすごい頑張ってると思うけど、いかんせん全体に知識や理解が不足気味か。原発関係で民放系はやはりかなり感情的になっていたけど、NHK科学文化部の山崎さん以外で、知識を持って解説・ディレクションできるような人材がいなさそう。記者というのが「文科系」のカテゴリーに入っているが、現代のニュースの性質を考えると、その伝統も再考しないとですね。(医療系はある程度知識持った人がいる気がするけど)


・サイエンスリテラシー。最近読んだ『今この世界を生きているあなたのためのサイエンス』というのは秀逸だったけど、こんな感じで良質な啓蒙科学本が増えると嬉しい。いわゆるサイエンスライターというのは職業的に成り立ちにくいけど、そのあたりをどうしたらいいものか。原発で不安は高まるのは当然だろうけど、多少知識があるのとないのでは違う。


・発電システム。現在の発電システムは所謂クラウドの形で、局所集中・分散供給だが、今後分散発電の議論が高まりそう。太陽光、燃料電池を今回のリスクマネジメントの文脈から盛り立てられると良い。今回も地下のガス路は割と大丈夫だったことを考えると、電線はやはり地下化するのが良いのかな(美観だけでなく安全保障面で)。


・通信システム。今回電話は不通が多かったけど、ネット/メールはほとんど支障なし。緊急連絡網は、電話じゃなくてメールが良いのだなあという教訓。電話システムも、インターネットに倣って、ネットワーク型へ再構築またはネットとの一体化がいいのかしらん。『クラウド化する世界』では、発電システムの歴史を紐解きながら、PCやネットの世界におけるクラウド化について論じていたけど、逆にネットの知見を発電システムへと活かすこともできそう。


自衛隊。こういった時にありがたさを改めて実感。逼迫した戦争のリスクのない状態で自衛隊員を増やすわけにもいかないが、予備役だけでなく、消防隊や警察官とある程度一元化したプールやコースはできないものか。特に警察予備隊と言われていた歴史を踏まえると、警察官の仕事との相性はどうなのかな。かぶらない要素もたくさんあるだろうし、やや暴論だが、ふと思ったこととして。


・省エネ。今回の計画停電をきっかけに省エネの議論も高まるといいな。スーパーから物が消えるというオイルショックの時のような騒動も、ポジティブな方向で似たような帰結をたどると素晴らしい。省エネが進んで、ますます日本がエネルギーに関して筋肉質になったら、長期的に国のパワーになりそう。災い転じて福となすか。



特に感じたのは、やはりメディアのサイエンスリテラシー。僕自身NHKや日経のファンだし、働いている友人に対して素直な敬意を持っている(相当に大変な労働をしている)。実際、今回も「報道」に関しては、非常に精力的で、関係者には感謝したい。しかしメディア全体で見ると、サイエンスに限らず、持っている巨大な権力に応じた学力が乏しい印象。「足」や「早さ」を重視するスタンスというのは、どこまで価値があるのだろうか。特定の誰かの批判とかではなく、権利と義務はバランスする必要があるという公理の中で、メディア自体を再考してみたいところ。