ideomics

オブジェクト思考ブロギング

a new kind of 参議院

少し前の話になるが、参議院の一票の格差に関して、東京高裁違憲との判断を示した裁判があった。


もともと参議院自体の存在価値については、多くの人が大変疑問で、色々な意見があると思うが、個人的には、一院制にまとめるよりも、何らかの建設的な形で二院制を考えてみる方向に惹かれる。

例えば憲法審査機関という案がある。これは現状の裁判が憲法関係の裁判を忌避する傾向が強く、別な機関が必要だという意見だが、上記の通り流れも変わりつつあるのかもしれないし、そのために議会をひとつ作るのはややオーバーである。


自分としては、やはりオンブズマン的な方向性に惹かれる。現状におけるオンブズマン、政治ジャーナリズム、会計検査院に加えて、企業でいうところの監査役を足したような存在。すなわち、政策や予算などをつくっていく立場ではなく、それを監視し、情報公開をしていく存在。理由は、以前のエントリの通り*1。現状では、「事業仕分け」はイメージに近い。ジャーナリズム=「政治の監視装置」として、第4の柱*2という言い方があるが、もっと公的な形で担保されてもいいだろう。




情報公開の面では、NHKのような準公的機関だけでなく、はっきりとした公的機関、独立した権力を持った機関が必要だろうと思う。黒川清*3さんなんかは、日本の行政は公的な統計をあまり公開しないので、census bureauをつくれ、みたいな主張をされているが、そういった情報を市民に公開する、(政府立から独立した)権力を持ったルートが必要であることは共感できる。


国会を「議論する場」という原点から考えた場合、議員は陳情を通して国民の声を政治の場へと発信するベクトルはあるが、逆に政治の場での声(主に官僚の政策を中心として)を国民に発信するというベクトルは乏しい。昨今の仕分けで、「こんなことやってるだー」と思うことは多々ある。そこで、衆議院が民意を政治に伝える手段とすれば、参議院は、政治の場で何が行われているかを市民に伝える手段である、という形になるといいなと思う。というのも、何が行われているか知らなければ議論のしようもないから。


また、財政規律をもたらすにも、現状ではあまり良い手段がなく、会計検査院もあるんだか、ないんだかよくわからない存在なので、このような機関は今の日本には一層大切*4。もっとしっかりとした権力を持った独立組織が監査をする必要がある。日銀に関しては、政府からの独立性云々の議論が盛んになった時期があるが、会計検査院に関しても、同様の議論が必要である。「事業仕分け」など、実際はそこで恒常的に行われるべきである。


あまりまとまった話ではないし、書生的な議論で単なる白昼夢と言えば、それまでだが、このあたりはちょっとディスカッションしてみたいトピック。

*1:政治家と官僚 - ideomics

*2:立法、行政、司法の三権が1〜3の柱

*3:黒川清 - Wikipedia

*4:蛇足だが、財政規律の面では、会計士という仕事が、プロフェッショナルとして、もっと公的にパワーを発揮しても良いのではないか、というより、発揮して欲しいと、個人的に思っている。