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オブジェクト思考ブロギング

横浜

先日ひさしぶりに横浜へ。

桜木町に降りると、3台のバイクが轟音を鳴らしながら、駅前の大通りを過ぎ去っていった。しばらく市街地を訪れる機会がなかったけれど、このバイクの音はたまたまなのか、それとも横浜の衰退を兆しているのか・・・ふと考えてしまった。


東京都内に大きなマンションができたり、西東京・千葉・埼玉に居住地がしっかりと形成されるにつれて、昔ながらの東京ベッドタウンという位置づけは下降気味ではあるだろう。住むという選択をする人がどれくらいいるのかわからないが、所得を上げたり、文化を活性化してくれる人が積極的に選んでくれるような感じはあまりない。


とはいえ、みなとみらいや旧市街地(関内や馬車道)の再開発をかなり積極的にやっていて、それは可能性がある点だと思う。それに、みなとみらいから更に海岸沿いに南下した本牧地域*1とか、山手の方は電車を伸ばせば、ポテンシャルは高そう。このあたりの都市計画を想像するのはなかなか楽しい。


山本理顕横浜国立大学大学院建築都市スクール(Y‐GSA)の教授陣による「OURS:居住都市メソッド

は、横浜を「居住都市」というコンセプトで、いかに魅力を増大せしめるかを議論したもの。都市の魅力を考えるに、どういったコンセプトで都市を打ち出していくかという都市マーケティングという意味で面白い。横浜の場合は、居住空間というだけでなく、ベイエリアも重要な特徴なので、そこの部分を考えるのは必要かも。


彼らは、横浜国立大学という大学なるプラットフォームを利用して、それを提言しているのが更に興味深い。建築家が事務所を持ちつつ教職をやるのは、ごく一般的なことだと思うが、彼らは、大学というプラットフォームが政策提言に活用しやすいポテンシャルを持っていることに自覚的であるように思える。個人事務所という「民」でもなく、行政機関という「官」でもない、第3の「公」という説得力を持ちやすいポジショニング。


大学機関をコンサルティングのプラットフォームにすることに関してはこちらも
コンサルと大学と出版の融合 | JOURNAL | FERMAT


ハード的な都市計画も重要だが、ソフトも言うまでもない。特に横浜が力を入れているのは、芸術関係。一応それなりにブランディング力がある地名なので、行政の方でも「創造都市*2」を掲げて、色々な文化政策をしている。


歴史的な建築物を文化・芸術的にリノベーションするBankART1929や横浜ビエンナーレなどが有名だが、

創造都市・横浜の戦略―クリエイティブシティへの挑戦」

に詳しい。


なかなか都市間競争は厳しくて、優秀な人材、創造的な人材、気持ちのいい人達を集めていくのは大変だけど、横浜にはなんとか頑張ってもらいたいところ。