ideomics

サブジェクト⇔オブジェクト思考ブロギング

建築のゆくえ

病院のボスが最近若干31歳にて持ち家を買ったから、自分もいずれ家を買うのかな〜いつかな〜と考えてしまうことが多い。ネットで坪単価調べたり、ちらちら住宅を見たりするけど、おそらくだいぶ先のことだろう。ちなみに、文京区は坪300万くらいするからとてもじゃないけど無理そうだ。


そんなこんなでなんとなく建築のことを考えることが多い。凡人の住宅を建築という大仰なカテゴリーにくくるのは憚られるが。とはいえ、段々自分の住宅というあまり夢のないものから徐々に脱線して、(大仰な)建築の話の方に引かれてってしまっている。


前世紀後半から建築のこれからというのが頻繁に議論されており、色々な文章が出ていると思うけど、最近読んだ    

「Any:建築と哲学をめぐるセッション」 磯崎 新・浅田 彰

はやはり面白かった。


これとかを踏まえて、今後面白そうだと思うのは、

①素材
②情報
③新陳代謝・成長(生命のメタファー)
④collective house

というあたり。
    

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①素材

浅田さんも「ニューマテリアリズム」と若干触れていたが、素材の開発は地味ながら興味深いところ。これまで建築というと「形」にスポットがあたることが多かったけど、ユーザーベースでいったら、どっちかという素材の方が住み心地に重要かもしれない。光触媒とか高度な断熱材とか。そうなると、人文的な上書の議論からは外れてかなり工学的な話になるから上書みたいに取り上げられはしないのだろうけど。


②情報

情報社会に伴い、リアルな建築より、バーチャルな体験の方が比重が高くなって、いずれ建築は破棄されるのではないか、という議論が90年代から既にあったようである。インターネットの出現とともに、状況は加速しており、現在よく議論されているテーマである。

ただ、バーチャル(≒インターネット上)での建築というテーマになってしまうと、所謂建築家はほとんど関係なくなってしまい、建築領域の議論ではなくなってしまう。アーキテクチャという言葉で2つの領域を繋ごうとしているが、お互いに貢献できるものがあるかどうかは難しいか。ウェブ側からすると、物理的な建築のメタファーでウェブ上のアーキテクチャを考えると、かえって発想が固定化・凡庸化されかねない気もする。セカンドライフみたいなところで、unbuiltならぬpseudo-builtして、住み心地のシュミレーションをやるといった程度だと、仮想店舗とあまり変わらないしなぁ・・


③新陳代謝・成長(生命のメタファー)

先進国では、上海やドバイのように、たくさん建物をつくるということができない以上、保守や改築といったことの比重があがる。リノベーションとか。それを踏まえて、建築に「新陳代謝」*1や「成長」を考えるという立場。イタリアなんてずっとこれでやってるんだろうし、まったく新しい話ではないが、今の日本ではとても必要な議論ではあるだろう

徐々に「成長」させるという意味では、ヒルサイドテラス*2なんて、成熟した成長のあり方のモデルだろうし、新陳代謝という発想も都会のビルにとても必要だ。代謝といいつつも、「保守」と実質的には裏表である。この辺りは、学術的な発展というより現実的なニーズとしてあり、かなり地味な話なので、若い人好みのテーマではなさそうだけど。

④collective house

個人的にかなり興味のあるテーマ。子育てをする際のベビーシッター、パーティスペース、ラウンジ、庭など生活に必要なものや、アメニティなどあったらいいなと思うものを共有して所有するための手段として。これらは個人で所有するにはかなりの所得が必要だけど、共有すればある程度なんとかなりそうなもの。

物理的な意味での建築というよりは、共同でコトを運ぶという(政治的)プロセスがメインになるので、いわゆる建築家の仕事から外れるような気もするが、実際の建築もかなり政治的に決まることを考えると、collective houseを主導していくくらいの「政治性」を見につけるにが「建築家」としてのステップとして重要かもと思ってみたり。コールハースなんて、このあたりの政治性がコアコンピタンスの1つのわけだし。実際につくるのはかなり難しいと思うけど、collective houseはちょっと検討してみたい。


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これら以外にも、環境(エネルギー効率最適化、内と外の境界の曖昧化、自然を形象として使用する、植物とかとの共存・・etc)なんてテーマの大きいと思うけど、その辺りは割愛。




20世紀最後の10年に開催された建築と哲学をめぐる国際会議AnyConference―日本語版議事録のみに収録された全討議を集成。磯崎新浅田彰柄谷行人による2008年の討議を新たに収録、建築‐批評‐哲学が直面する現在的課題に迫る。

*1:いわゆるメタボリズムとは違った意味で

*2:ヒルサイドテラス - Wikipedia