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ideomics

サブジェクト⇔オブジェクト思考ブロギング

「世界を変えるデザイン − ものづくりには夢がある」 シンシア・スミス

プロダクトデザインというと、既にできあがった製品のソフィスティケーションというのが、暗黙の前提になりがちだ。特に日本のような物が溢れている世界では。


そういった前提に慣れている人(例えば自分)には、なかなかインパクトのある本である。そもそも、仕様とかスペックや機能からデザインを掘り起こすということ。プロダクトデザインというより、プロダクトをそもそも発明し直すこと。別種の製品をつくり上げるといったことに近いかもしれない。design=設計としてのデザイン。


この本では途上国向けに再発明した例が載っているが、先進国でも必要な発想でもある。機能をてんこもりにしたり、意匠を凝らして凝らして格好良くするのも楽しいかもしれないが、そもそもの必要性や欲求・要望をベースに1から組み立てること。再発明すること。例えば、iPadの開発もこれに通じるものがある。


友人の記事に詳しい
Appropriate Technology-適正技術-の勧め(教育編) 日常と向き合う


例えばこの友人の話では、途上国では医療機器が非常に足りなくて、オートクレーブ(メスなど医療道具を熱で滅菌する機械)がないから、ちょっと処置もできない。オートクレーブは高いからみんな手が出せないけど、代替になるものがあるととても助けになる、と。もし上手くいったとしたら、こうして発明されたものが、いつの日か先進国に逆輸入されるというのも遠い未来ではないかもしれない。


アメリカでは財団がコンペでアイデアを募集して、優秀なプロポーザルに賞金・資金を出すといったことが既にあるらしい。この本も含めて、現在は途上国向けの貧困解決的な文脈に乗っているが、個人的には、appleIDEO*1などの開発思想に通じるものとして興味深かった。すなわち、今ある製品を一回括弧に入れて、改めてニーズやコンセプトから構築するデザインの姿勢として。



世界の全人口65億人のうち、90%にあたる58億人近くは、私たちの多くにとって当たり前の製品やサービスに、まったくといっていいほど縁がない。この残りの90%の人々の生活を良くするには、何が必要なのだろうか。
そのような「もの」をつくる上で、「デザイン」の役割は欠かせない。
たとえば、アフリカには、井戸で水を汲み、何キロも歩いて家に運ぶ人々がいる。水を運ぶの重労働だが、ドーナツ型の容器があれば、子供でも、転がして楽に運べる。
世界には、そんな「ものづくり」に取り組む人々が大勢いる。彼らが生み出した革新的な作品を集めて、2007年、アメリカのスミソニアン/クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館において「残りの90%のためのデザイン展」が開催された。本書は、その記録である。

*1:wikipedia参照、今やMBAホルダーにもかなりの人気があるらしい。appleにせよIDEOにせよサンフランシスコのベイエイアの企業であるというのが面白いですね