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オブジェクト思考ブロギング

「世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史」 トム・スタンデージ

嗜好品な飲み物の歴史を、世界史的な出来事を絡めて語る。いわゆる正統な世界史的知識もしっかり踏まえつつ、個々の飲み物(ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラ)の歴史も詳述されている。読後には、いかに嗜好品的な飲み物が人類に大切であり、世界史を駆動してきた重要な役者の一人であったかを納得させられてしまう。(例えば、イギリスの茶税→ボストン茶会事件アメリカ独立戦争とかね)


ちなみに著者はエコノミスト誌のエディターだかコラムニスト。まさに「知性ある趣味人」とは何たるかというのを物語った内容であり、文章も上手い。うっかり時間も忘れて読み進めてしまう。ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラのいずれかに愛着を感じている人ならば、相当に魅力的な本である。今までさほど興味のなかった飲み物にも興味が出てくるかもしれない。


秋晴れの休日に、こういった本を読む。気にいった飲み物を横に置いて。こんな贅沢な時間、他にあるだろうか。




ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コカ・コーラが語る熱情と覚醒の世界史。もし、これらの飲み物がなかったら、エジプトのピラミッドも、ギリシア哲学も、アメリカの独立も、フランスの市民革命、イギリスの産業革命・金融革命も形を変えていたかもしれない。ささやかな飲み物が、人類を駆り立て、歴史をつねに動かした、その大いなる秘密が明かされる。


※表紙はイマイチだが、内容は洗練されています。