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サブジェクト⇔オブジェクト思考ブロギング

「ニューヨーク流たった5人の大きな会社」 神谷秀樹

「バンカー」という言葉に憧れを抱くようになったのはいつからだろうか。Bankerという綴りには、銀行員という日本語とは違った趣がある。

・・・クラシカルな家具をしつらえた落ち着いた部屋で、顧客の声に耳をかたむける。豪華ではないもののしつらえの良いスーツをゆったりと着こなし、数値だけでなく散文的な情報も考慮する。懇意にしている顧客には、子育てのアドバイスや交友の斡旋なども提供する。愛用している革ベルトのシンプルな腕時計をいつ孫に譲るかをふと考える・・・

そんなちょっと前時代的なバンカー像にある種憧れを持っていた。情報の非対称性を理解した上で、倫理的な顧客サービスを考えられるバンカー。


もし、そんなバンカーを育成するようなプロフェッショナルスクール・・・財務大学院(finance school)・・・があったらどんなにいいだろう。

人の命や社会的生命を扱う医学や法律には、倫理的専門性を重視したプロフェッショナルスクールがあるけれど、企業の生命を司りかねない財務の世界にそんな学校があったとしたら、、、神谷さんに教鞭をとってもらいたいと思う※。


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サブプライム以降わりと露出の多い著者だが、これはあの出来事の結構前に上梓されたもの。

↓の通り、ブティック系の人数の少ない投資銀行(とはいえ、未公開の企業を手がけてフィーを株式で受けとるなど、かなりVCに近い。日本で言うと、DIにわりと近い印象)を始めた彼。

かなり熱い思いをもってバンキングという仕事をやってる姿勢に感銘を受けた。何人かに勧めたけれど、どの人も何らかの感動を受けたみたいだ。特に、社会人になりたての頃に読むと、ひとつの仕事に打ち込む人の格好良さにしびれる。


内容的に興味をもったのは、彼が、投資を通して教育を変えたいと述べていたくだり。医療のような「主治医制」の教育に変えていきたい、と。

主治医が必要に応じて各専門医へアレンジしつつ、患者を総合的に診るように、メインとなる教師を決めて、その人が子供に合うように具体的なトレーニングやレクチャーをアレンジしていくようなシステム(つまり、マスプロでなく、テイラーメイドな教育であり、その統括役として「主治医としての教師」がいる感じ。介護保険におけるケアマネに似ている。)を提案している。かなり共感をもって読んだ。

マスプロがかなりイマイチであることは最早自明だろうけれど、財政的な問題もあってなかなか変えにくい。そんな中で、財務系の著者がこのように述べているあたりに、一種の希望を持ってしまう。



※読んだ当時のこと。既にある海外の大学のプログラムで教鞭とっているらしい。もしかしたら、倫理的専門性を重視したMBAとかは結構あるのかもしれないけど、あまり知らないので。