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オブジェクト思考ブロギング

「千年、働いてきました - 老舗企業大国ニッポン」 野村進

少し前に話題になった新書。老舗に注目した著者のセンスも素敵だし、個々の企業の製品もなかなか興味惹かれるのだけれど、彼の分析で、
「(一部の)老舗の鍵は婿養子」
というのが一番面白かった。

創業者はえてして自分の息子に会社を継がせたがる傾向があるけれど、これはなかなかリスクがある。息子の数は大抵限られているし、優秀とも限らない。働き者のパパがお金だけあげてたりすると、むしろイマイチなことも多いだろう。だいたい、3代目が潰すというのが相場というし。

そこで、婿養子である。婿であれば、選択肢はほぼ無限大だし、家を離れてアウェーな人だから、義理の両親に認められようと、しっかり働くインセンティブがある。義理の親の財産を100%あてにできるわけないし、使い込みも監視されるから、かなり良い働き手になるはずである。これはなかなか合理的なシステムだ。

だいぶ前にコンサルティングファームで働く友人から聞いた話だけど、上司がとある中小企業社長に「お宅の会社で良い婿候補はいないか」と聞かれたらしい。中小企業ではわりと婿養子のニーズがあるみたい。結婚紹介ビジネスとヘッドハンティングを併せたような、企業向け婿探しビジネスってのは、意外とマーケットがあるのだろう。