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サブジェクト⇔オブジェクト思考ブロギング

思想としてのプロダクト − 「デザインのデザイン」 原研哉

デザインとは、生活文化の探求だ。何かを為すというより、何かを考えること。何かを作るというより、何かを探すこと。・・・デザインという言葉の通来の意味を、飄々と流していく。原研哉は思想家とか詩人と言われるカテゴリーの人間なのだなと思った。

かっこよくするとか、お洒落にするとか、便利にするとかそういった作為としてのデザインももちろん必要だし、メインストリームにあたるだろうが、彼の発するデザインという言葉は、むしろ、よくあるものの中に潜む何かしら気になるものを探し出すというプロセスだと思う。そして、自分の感受性を豊かにすること。そういった発見や探求が具体的な形としてプロダクトとして結晶化する。あるいは結晶化してしまった。そんな印象だ。

探究心も色々ある・・・宇宙の構造を知りたいという壮大な野望から、昆虫の体を隅々まで知りたいといったマニアックな関心まで・・けれど、「生活」というものを探求したら、自ずから彼のようなスタイルに達するのかもしれない。すなわち、思索と感受の結果としてのプロダクトデザイン。

この本は具体的な彼のデザインしたプロダクトを紹介するというより、過去の展示イベントや実験的な作品、多摩美大でのゼミの紹介といった内容であり、彼の発想のより近い部分に触れることができる。その分、抽象的であり、万人受けはしないけど。はっきりとした方法論や理論を示すわけではないが、とてもfundamentalな仕事をしてくれた。応用可能性は無限大。


生活をもっとじっくりと、あるいは別な視点で眺めてみよう。ひとつひとつのことを時間かけて過ごしてみよう。そんな気にさせてくれる。