ideomics

サブジェクト⇔オブジェクト思考ブロギング

ユリイカ2009年6月号 特集レム・コールハース

コールハースを十全に語ることは、無謀である。けれど、今回の特集は色んな視点からの分析やコメントで、かなり見通しがいい。

コールハースはオランダ出身の建築家だが、ジャーナリストや映画のシナリオライターといった職歴があり、著作によって名を上げ、実際の建築物が注目されてきたという、なかなか異色の人間だ。他の建築家があまり注目しない、東京や上海やシンガポールといったありふれた近代都市(ジェネリックシティ)の均質性に注目したり、エレベータやエスカレータといった移動機材の使い方にこだわったり、斜めの床や道っぽさを建築の内部に取り入れることで、建築の内部空間に外部空間のような「動き」を誘導したり。

建築設計だけでなく、都市のリサーチ(社会学的なものや、統計的なもの)を含めてやることで、自身の事務所であるOMA, office for metropolitan architectureという名前の通り、メトロポリスとしての都市にふさわしい建築物を追求している。(リサーチ機関はAMOという名前)いや、建築物だけでなく、建築が生まれる土壌としての社会制度の設計の方が興味強いかも。



以下気になった部分を抜書き

コールハース:いまや文化も市場経済の一部となってしまっている。市場がまだ完全に食い尽くしてない領域は、政治だけでしょう。商業的な力やひどく制限された力といった外面を越えた想像力のことを考えているなら、政治こそ文化なのです。

コールハース:究極的には建築と絶縁するのだという野望が僕達(OMA, AMO)を動かしていた。

松田達:AMOはOMAのプラットフォームである。コールハースは「政治家」になりたいといったが、政治家とは、建築のプラットフォームまで設計する、いわば拡張建築家のことである。

浅田彰:レムの勘の良さについて付け加えると、OMAのMとして、メトロポリタンという言葉を使ったところにあると思う。それによって、20世紀がメトロポリスの時代だったというのが、よりはっきりわかった。我々の頃までは都市は19世紀的な意味でのシティだったのです。

五十嵐太郎:もともとオランダでは、プロテスタントが流れ込み、聖書の印刷に始まる出版文化が盛んだったこととも関係あるかもしれないですが、本というメディアの使い方も新鮮でした。コールハースはメディアアーキテクトなのですね。

藤村龍至:今日の複雑化した都市で建築を設計するためには、調査と設計が同時進行となる。それは、都市という複雑なコードの海から、建築言語を検索し、見えないコンテクストを可視化するような作業になる。近い将来、建築の設計行為は、膨大な情報から適切なデータマイニング=順位付けを行う検索アルゴリズムの設計に限りなく近づくであろう。「グーグル的建築家」