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オブジェクト思考ブロギング

「ヤンキー文化論序説」 五十嵐太郎

日本人を大雑把に3つに分けると、ミーハー、ヤンキー、オタクである。という意見があったが、厳密さはともかくとして、なかなか言いえて妙だと思った記憶がある。


ミーハー(おそらく自分はここのグループだと思うが)やオタクといったグループには、自分達で声をあげることができる人がそれなりにいて、文化的な勢力としてそれなりにのポジションを持っている。

しかしヤンキー派な人たちは、あまり知識人と言われる勢力を輩出してこなかった分、文化的なポジションが曖昧である。サブカルチャーなどのカテゴリーで他者として記述されることはあったにせよ、自分達で自分達の文化を記述したり外に向かって表現するといったことは、きっと少なかった。だが、ヤンキー的なものは相当なマジョリティであるし、マス受けという意味では最強に近いツールである。

そんな問題意識をベースにして書かれた本。幾人かの人たちが、歴史、音楽、芸術、文学、映画、教育・・・といった切り口でヤンキー文化を語る。そこにヤンキー当事者の声はないが、それなりに俯瞰できる構成。既に知っているものも多いが、それは序説ということで。

ともあれ、マスへのアプローチ(マーケティングにせよ、啓蒙にせよ、政治にせよ)を考える上では、このヤンキー性への理解はきっと重要に違いない。