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「サンチアゴ・カラトラバ」 DVD現代建築家シリーズ

サンチアゴ・カラトラバの名前を初めて知ったのはプリツカー賞(建築における最も権威ある賞のひとつ)受賞者リストであった。高名な建築家が揃うリストで、幾人か知らない名前があったが、彼もそのうちの一人だった。少なくとも、日本ではそう有名な作家ではない。とりあえず、ウィキペディアで調べることから始めた次第が、なかなか興味深い作家。

彼の特徴を自分なりに2つあげると、
①自然の形、特に動物・鳥・人間をモデルとした形づくりをする。

例えば、このturning torsoというビルは、人間の背骨が人体という重量を支えているという事実への驚愕からインスパイヤされたものらしい。DVDでは彼のアトリエにある、いくつかの彫刻的な模型(彫刻というか実験的なモデルというかその中間)を映していた。

②土木的なもの:橋、駅舎への興味が他の建築家に比べて強い気がする。特に橋。

動物モデルを基にした橋をいくつか作っている。写真はないが、DVDではおーきな2つの人体が橋の柱として支える斜張橋のデザインも紹介されていた。もともとデザイン依頼が持ち込まれにくい分野ではあるけれど。WTCの地下鉄駅も彼のデザイン。

もともと建築関係の出身ではない人間として、建築物にはやたらデザインが施されているのに、土木的な物(歩道橋、高架、橋、道路、駐車場など・・・)は、哀れにも放置されている現状にそれなりに不満であったが(※)、こんな人もいるのだなーと。スペインという国の特徴かもしれないが、孤高の仕事をしている人がいる。


※もちろん、公共物は資金の出し手や責任者という意味で、建築物よりケアされにくいという制度的な前提はそれなりに理解しているつもり。なので、土木的なものがケアされるように、機能も含めてデザインの対象になりうるようにどうすればいいかというのは、土木的なもののデザインと並行して考えていきたい課題である。個人的に興味があるのは、高架と駐車場のredesignやgentrification。高架下利用の良い例は銀座〜新橋のコリドー街か。他にもケースを集めよう。


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