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オブジェクト思考ブロギング

シンガポールの公共政策

シンガポールに興味があり、自治体国際化協会がまとめたPDFを読んだ。都市国家地方自治も何もないのだが、全分野にまたがり、わりにまとまっており、シンガポールの公共政策の良きブリーフィングとなっている。

http://www.clair.org.sg/j/newsletter/sin.pdf

面白いと思ったのは、

「閣僚・次官などの高級官僚の給与が、主要6業種(銀行家、会計士、エンジニア、法律家、地元製造業、多国籍企業)における給与トップ8名の給与上位24位の給与額の3分の2、つまり48名(6業種X8名)中24番目の給与額の3分の2を下回らないこと」

官僚が薄給を理由に辞めないように。薄給がいやで優秀な人が逃げないように。エンジニアがこの6つに入っているというのも、興味深い。

「海外投資を奨励するプログラムがいくつか ①パイオニア・ステイタス:草分け事業と認めたものに対し、起業から15年間法人税を免除。 ②VCファンド:新規投資のうち、承認されたものについては、収益に対する法人税を免除。 ③テクノプレナー投資:高度技術を要する事業の開始にあたっての投資費用に応じて、収益に対する税を控除」

先端産業を興すという目的意識がはっきりしている。

「政府歳出費の20%が教育費(国防に次いで2位)」

人材しか資源がない国ならでは。しかし、20%はやるな。

「港湾局などある程度役割を終えた部署は民営化(特にインフラ関係)。会社化した後、海外で事業展開し、外貨を稼ぐ。」

民営化まではベタだが、その後がなかなか。さすが華僑の国。

福祉は、直接支給せず、ボランティア団体に対する財源的援助にて。」

自助、互助を基本とするため、なるべく政府は直接福祉に介入しない方針。ひとつには、依存心を育てないように、もうひとつには、ボランティア団体の方が、より困窮者のニーズや分配のあり方を知っているから。商人の国だけあって、福祉もリアリスティックだ。個人的は結構感動している。

「自動車を購入する際には、場合によっては購入代金以上の登録税がかかり、登録も数が決まっているのでこの権利は競売にかけられる。また、都市の中心部に入る際は通行料金が必要であり、都心部にいた時間に応じて支払う。」

自動車による過密を防ぐための市場原理。エコと都市過密の時代にあっては、非常に合理的な選択。かねてよりこの趣旨の政策を東京にも導入してほしいと思っていたが、先駆けてやってるんですね。ただ、シンガポールは歩行者や自転車には優しくないみたいで、その点はまだ21世紀的とは言いがたい。


この資料にはないが、もっとも面白く思ったのは、シンガポールの紙幣の最高額の図案が、「女性研究員、マイクロチップアミノ酸化学構造式」であること。次に高い紙幣にやっと「議事堂・大統領官邸・最高裁判所」が出てくる。国として、この位階に象徴されるpriorityをもつってなかなかすごい。

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自治体国際化協会にはその他の国の資料も

http://www.clair.or.jp/j/forum/series/index.html

もともとは連邦制に興味があり、その他の国はどうしてるんだろうと思って覗いていたのがきっかけ。