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オブジェクト思考ブロギング

「アメリカ後の世界」 ファリード・ザカリア

アメリカの気鋭の国際ジャーナリストが、題名通りの国際関係を分析していったもの。内容としては、良くも悪くもきわめてスタンダードな感じで、驚くような発見などはなかった。むしろ、著者のものの見方の誠実さや、静謐な知性に感銘を受けた。何かと理論やフレームワークを一元化したがる人が少なくない中で、貴重な人だと思う。もちろん、政治の話だから、先入観や希望願望、自分の立場から完全にフリーであれるわけはないんだけど。

著者はインド出身で、イェール大学、ハーバードの博士課程と進み、foreign affairsの編集長に27歳にして抜擢されたそうな。こういった人物が「ジャーナリスト」の看板を掲げるものだから、かの国の政治の基礎体力はおそろしい。ジャーナリズムが単なる「ブンヤ」の仕事には限らないことを示してくれる。

ちなみに、この方その後はNewsweekにうつられたそうな。Newsweekは、広告不況の煽りだかで、大衆路線から高級紙路線に最近舵をとったと聞いている。ちょっと読んでみたい。