ideomics

オブジェクト思考ブロギング

メモ

精神医学から臨床神経科学へ:4つの不都合な真実

先日、NIMH所長Thomas InselのAPA講演“From Psychiatry to Clinical Neuroscience: Four Inconvenient Truths”をウェブ視聴した。内容自体は、現状の精神医療の課題(インセル氏のFour Inconvenient Truthsは、高止まりする自殺率など、社会における課題)を…

仕事と再生産

ベッドタウンとして設計されたニュータウンで育ち、多少歴史のある地域に引越してみると、生活感というか生活観の違いに驚かされる。生活に精神的な充実がある。そもそもベッドタウンという呼び方自体が、仕事中心で他の価値を捨象した言葉と今更気づいた。…

精神 (psycho) と神経 (neuro) の間で

USのBRAIN initiative (Brain Research through Advancing Innovative Neurotechnologies) や欧州のHuman Brain Project (HBP) はじめ、脳科学研究がさらに加速しそうな2010年代の状勢。精神 (psycho)が神経 (neuro)で説明できる、それを目指すというのが今…

貴族社会の科学、市民社会の科学

スタップ事件では、理研の責任がみたいな話は多いけど、個人的には、「貴族社会における科学」と「市民社会における科学」の違いが浮き彫りになったことかと感じている。外交から音楽、芸術、衣食住まで、貴族社会から市民社会への移行で、大きな影響を受け…

フェミニズムとparenting:『サイエンス』誌編集主幹Dr.Marcia McNuttへの期待

ジェンダー間のアンフェアさが話題になることが多い。中でも育児などのケア負担のアンフェアさが問題だとすると、これをフェミニズムという「女性問題」的な視点で語るやり方は、論理的に妥当な議論に成功したとしても、ともすると問題の悪循環を生み出しか…

隠喩としての『アナと雪の女王』

(以下内容を前提に)『アナと雪の女王』のエルサを、「能力高いけどコミュスキル不足で、その能力を活かせず他人を傷つけがちで、ゆえに他人と接することができず孤独がちな人」*1と捉えると、心理学・精神医学周りの話としても含蓄が深い。 というのも、そ…

渋谷再開発と東急電鉄

VR動画と模型で体験、激変する渋谷駅|日経BP社 ケンプラッツ渋谷駅再開発の建築デザインに隈研吾とSANAAを起用 | Fashionsnap.com 城南地区という東京の中でも地価や文化水準が高い地域の「首都」のわりには、最近ぱっとしない渋谷も、六本木、丸の内などと…

電子投票

電子投票システムを国や自治体に期待する前に、勝手に作ってしまって、政府に「あげる」くらいのが一番早いかも。エンジニアでも興味ある人は多そうだし、ファンディングもクラウドから富豪までありえそう。というのも、政府に作ってもらうのを期待するのは…

女の自己肯定感

母親の呪縛~自己肯定できない女達 - ぼくら社Blog大人になってから自己肯定感を高めるには - こじらせ女子のつまらない出来事 興味を惹かれながら読み進めつつも、やはり気になるのは「父の不在」。そして、女児の自己肯定感というのは、(男児に比べて)父…

フェアネスに至る武器としてのDNAシークエンス

ヘビーシッター事件で、女性側を擁護する立場を取る人の中には、こういうケース一般で、なぜその「元夫」は責められないのか?と思っている人も多そう。なぜ女ばかり責められるのか、と。 ベビーシッター宅での2歳児死亡事件についての解説 | 駒崎弘樹公式サ…

科学における「概念」の位置づけ

STAP細胞問題をめぐって(武藤) 文系の研究者からみますと、生命科学(あるいは理系全般?)の研究者は、論文の「背景」・「目的」に対する思い入れが少なすぎます。・・・個人研究を中心とする文系の研究者にとっては、自分のレゾン・デートル証明のた…

親密圏のテクノロジー

年末年始は、親密圏(空間)に意識が向きやすい期間。改めて"家で""一緒に食事する"という行為が、親密圏形成の肝かもという感じがした。もう少し一般化するとホームパーティ。 楽しいことを一緒にやると、条件付け刺激みたく、一緒にいた人への好意が高まるの…

自己肯定感

子育て系の本とつらつらと。。。 たまたま重なっただけかもしれないけれど、どの本も共通して、「自己肯定感」が大事というメッセージを柱にして文章を展開している。3冊とも、要約すれば「子育て・成長支援とは自己肯定感を育むこと」というところか。 精神…

身体感覚を基盤に心地よさを追求してできあがっているもの

地中海の都市をアフリカや西アジアも含めて(コルドバ、マラケシュ、ダマスクス、ベネチア)、主に建築的な視点から案内。「やっぱり地中海都市全体が、ヒューマン・スケールの良さを持っている」が要約か。 「だんだん文明が進歩すると、自分の身体の感覚と…

生きる術としてのphysical arts

病気を治すのが医学。というのはそれなりに真としても、ほとんどの人にとって、そもそも病気なんかならなければならないに越したことはない。病気になった後に治す形の医学と並行して、そもそも病気にならないようにするという予防的なアプローチを追求しよ…

女の問題としての子育て論を脱するひとつの方向性? Human Development Studies

『女性は仕事と家庭を両立できない』? - ideomics子育てと仕事の両立。 延々と繰り返されるテーマだけど、これを"フェミニズム"として女性の問題として処理しようとするのはあまり得策ではないような感触が強くなってきた。もっと一般化して、男含め子育て…

自由空間の座標系

小飼弾×松井博、どこへ行く? 帝国化していく企業(2):企業帝国の弱点とは? そこで働く人たちの悲哀 (1/5) - Business Media 誠 いまの企業帝国は教育と福祉は国家に丸投げですよね。そこが本物の帝国と企業帝国の違いです。そういった意味で、企業帝国は…

三権分立? N権分立?

三権分立とよく言うけれど、3という数字は人間が気持ち良くなるわかりやすい数字というだけで、実質的な意味はないように思う。"N権分立"とした方が、妥当性、拡張性や議論喚起性含めよりふさわしいんじゃないかとも。(3であってもよいし) 個人的には、社…

スタバなう - Citizenship at Starbacks

アメリカのスタバでは、独立記念日にコーヒーをサービスにして、「アメリカの未来を語ろう」という特別な日にしたとか。イタリアのカフェにインスパイアされたと聞くけど、スタバは昔のコーヒーハウス的な伝統を再発明しようとしているのか。 コーヒーハウス…

『女性は仕事と家庭を両立できない』?

今更ながらクーリエで、昨年話題になったアン・マリー・スローター氏の記事『女性は仕事と家庭を両立できない』を読んだ。 クーリエのブログ→女がキャリアも家庭も…なんてやっぱり無理でした! « クーリエ・ジャポンの現場から(編集部ブログ) 原文はこちら…

ベビーと言葉と書き言葉と

ちょっと子どもが言葉を覚えてきて、こちらも色々な物の名前を教えたりするけど、一種の罪悪感がある。というのも、子どもがしげしげと葉を眺めて遊んでるのに、"葉"とか言って、言葉というバッファーをはさむのは何か邪魔してる気がするから。実際大人にな…

分野横断の知識流通@アカデミア

いわゆる専門的な学会や、大学の学部といった縦割り的な形とは違う形の情報流通、分野横断型の知識流通やコミュニケーションがますます求められているが、どうやったらそれがシステマチックに行えるか。ひとつは、やっぱり同窓会。学校のつながりはでかい。…

生物(いきもの)としての会社、生物(なまもの)としての会社:『スリッパの法則』藤野英人著

『スリッパの法則』 たいした資産があるわけでもないけれど、銀行に預けること=国債を買うこと、とすると、預金するのも釈然としないし、なにやら資本市場に悪を為している気もするので、もうちょっと有意義な投融資に回したい。と思って読んでみたら、思い…

大学の意義 ver 0.1

大学の存在意義。学問の意義。しばしば問われるものだけど、一番速攻な答えとしては、生み出される知の有用性:例えば、〇〇病の解明・治療とか、ある状況で景気を良くする経済的理論や実践など。しかし、こういったいかにも実用的な「意義」だけでは何とな…

Built to Last:エデュケーショナル・カンパニー - 時代を超える生存の原則?

"Built to Last" 邦題では『ビジョナリーカンパニー』として知られているが、この本には「永く続く」ためにはどういった要素が必要かと特定しようという試みの中で、ビジョンやコアバリューといった視点が出てくる。実際、ゴーイング・コンサーンとして「永…

動物の視座、環世界

ユクスキュル・クリサート『生物から見た世界』 基本的には生物学の本とされているが、一種の文学/ナラティブとして読むやり方もありそうだ。ちょっと前に猫のライフログという話が流れていたけど、Google Glassも動物がつけたら、なかなか面白い光景が映り…

メガサイエンスとメタサイエンス

科学とは人がやらねばならないものなのだろうか。機械が自動的に生成してくれるようなシステムはありえないだろうか。そこまでいかないとしても、今ある文献を統合していくようなアプローチ、例えばメタアナリシスみたいな作業は、もっと自動的にできても良…

アート思考?

だいぶ昔に、「医美」というサークルの展示を見に行った。医X美:「レオナルド&ミケランジェロの解剖学」から「次の形」へ - ideomics アートの効用。というと、実作をしている人や内的モチベーションの高い人には抵抗あるだろうが、その周辺としてアート…

臨床研究の学術雑誌

American Heart Association(AHA)*1が発行している学術雑紙に"Circulation"というものがあり、かなりインパクトファクター高い。AHAは研究者・臨床家だけでなく、患者サイドの参加があり、むしろ患者支援団体、というか、それがオリジンだとか*2。という意…

On Creation

creativeって、新奇性とかひねりみたいな軸なんだろうけど、creatureを創ったThe Creatorから来てるとしたら、創ったものが、「どれだけ生き物らしいか」って軸もありうる気がする。どれだけcreatureと言えるものを創れたか。生命の定義はある程度柔軟にあり…